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【感想】『我は、おばさん』を読んで、アメちゃんの偉大さに気づきました。

本記事は「note×集英社文芸」の合同企画「#読書の秋2021」の課題図書「我は、おばさん」の読書感想文です。過去に趣味で撮影した写真を交えて読書感想文を書いてみました。本企画の詳細は下記に記載されています。

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30代後半のオジサンになった私には、同年代の女性の同僚や友人達から聞かれても答えに困る質問がある。「最近、私はすっかり”おばさん”になっちゃったと思うのよ。あなたもそう思わない?」という質問である。いつもどう答えれば良いのか途方に暮れるが、満面の笑みで「そう思います!」という肯定的回答は不正解の可能性があるということには気づいている。私がうまく回答できないのは「おばさん」というものをどう捉えれば良いのかわかっていないからだと思い、本書を手に取ることにした。

5部構成の本書は、リズミカルな文章のため終始楽しく読むことができた。本書の巻末特別対談でジェーン・スー氏が本書を<おばさんアベンジャーズみたい>と形容していたが、まさにその通りだと思った。様々な文献に登場する「おばさん」の役割を著者が丁寧に、かつ鋭く解説して下さっているので、「おばさん」に対する理解を深めることができた。それと同時に、「おばさん」という言葉を取り巻く、日本の様々な事情を知ることができ、「おばさん」に対する認識を改めることができた。

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著者と同じように、関西圏出身の私もアメちゃん文化で育った一人である。子供の時に祖母や近所の年配の女性の方々からアメちゃんをよく頂いた記憶がある。その影響からか、私の通勤用カバンの中にもアメちゃんが常時ストックされている。今まで、特にアメちゃんに対して疑問を持つことはなかったが、本書を読むことによって、アメちゃんと「おばさん」との繋がりが見えてきて、新しい発見であった。著者は「おばさんが配るアメちゃん」に対して<まだ味方かどうかはわからないが、少なくとも、敵意はない>と素早く示す行為と表現していたが、とても納得した。幼少期の私はアメちゃんを頂いた時に、お菓子を貰えた喜びとともに、「あなたを見守っていますよ」というような温かいメッセージを頂いた気がして、嬉しくなったことを思い出した。おばさんという「見返りを求めない」存在がいたからこそ、実りある幼少期を過ごせたのかもしれないと気づけた。

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冒頭の女性たちの「最近、私はすっかり”おばさん”になっちゃったと思うのよ。あなたもそう思わない?」という質問に対して、本書を読み終えた私は、まずはアメちゃんを渡すところから始めようかと思った。そして、本書から得られた「おばさんという見返りを求めない存在」について紹介したいと思った。(でもきっと、私の拙い説明では意図が伝わらない可能性が高いので、同時に本書も薦めようと思った。)

そして、アメちゃんを配る行為は共存共生社会を形成していく上で、とても重要な枠割を担っていると思い至った。アメちゃんは共存共生社会の懸け橋になれる可能性を秘めたアイテムである。そう考えると、アメちゃんは偉大である。

深い考察から「おばさん」に対する新たな知見を示して頂いた著者の岡田育先生に感謝するとともに、本書を生み出して頂いた編集者の方々に感謝致します。ありがとうございました。

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#読書の秋2021 #我はおばさん


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