見出し画像

『邦キチ!映子さん』の「大怪獣のあとしまつ」回を読んで

本日公開された、邦キチ!映子さん season8 二本目を読んで、ああそうか、「大人げない」人らも混じっているんだ。と気付かされた。


※このテキストは大怪獣のあとしまつ他のいくつかの映画のネタバレに触れています。未鑑賞の方は読まれませんよう。


 「大の大人たちが」あれ程怒り狂っているのだからと、この作品はそんなに悪いのか?という空気が醸成されているが、思い違いをしているのかもしれない。踊る大捜査線劇場版一作目での思い込みによる混迷と同じ構図も含まれているんだと思い至った。邦キチで触れられているところのそういった層の特撮オタクの一部だけに限られた話ではなく、自分の機嫌を自分で取れない人の不機嫌に延々突き合わされているのかもしれない。

 あらためて己の立ち位置を明言しておくが、私は『大怪獣のあとしまつ』が面白いと思っている。

 岩松了氏演じる国防大臣ばりに乱暴な喩えをすること、また、喩える対象が途中で二転三転急に入れ替わって破綻しまくることと思うが、馬鹿の戯言と聞き流していただきたい。



<シナモンの効いたアップルパイ>

私視点で、
「映画」を「パイ」に、
「怪獣特撮」を「りんご」に喩える。
怪獣特撮映画=「アップルパイ」だとする。

 私はりんごもパイも結構好物なのだが、アップルパイにはつきものの「シナモン」がどうにも苦手で、少し効かせてあるくらいなら気にならなかったり塩梅によっては好いアクセントに感じることもあるものの、シナモンのしっかり効いた一般的なアップルパイを美味いと思えない。シナモンのかかっていない(使われていても少量か?)山崎製パンのアップルパイが自分はとても美味しい。

 シナモンが苦手なのは自分の味の好みの問題なので、殆どのアップルパイにシナモンがかかっていることが自分としては残念ではあるけど、実際に「シナモンがかかってるのが美味い」「アップルパイには欠かせない」と好まれているわけで、そういうものだと認識している。

 「シナモン」=恋愛要素、キス、不倫、下ネタ、滑るギャグ、アイドル、客寄せの棒読みタレント起用、等々なんでもいい、各々自身の苦手要素、余計だと思っているモノの喩えとする。

 これまでの怪獣特撮映画には、少量であってもシナモンがかかってるのが普通で、自分の好みとしては正直要らないんだけどあるのが当然だった。

 スピルバーグ&トム・クルーズの『宇宙戦争』は、ダコタ・ファニングの悲鳴が煩い、要らないとの感想を多く眼にしたが、トム演じる父親の感情をより実感させるための必要なスパイスだと感じていた。

 シナモンのかかっていない『パシフィック・リム』に自分も熱狂した。何度もリピートした。

 これまたシナモンのかかっていない『シン・ゴジラ』に自分もハマった。何度もリピートした。

 で、『大怪獣のあとしまつ』。
 多くの方が、シナモンのかかっていない『シン・ゴジラ』フレーバーを期待して食べに行ったら、アップルパイには違いないがフレーバー違いなだけでなくシナモンがかかった代物が出てきた。

 こんなマズいもの食えるか!💢と激怒する人、表情をなくす人等々、口に合わなかった人達が多く出た。分量にかかわらずシナモンが使われているだけで全く受け付けないという人もいて、そういう場合はその他の食材や調理法がどうであるかに関係なく駄作、クソ料理、最悪にマズい飯との評価となるのも順当な帰結か。

 その一方で、食べてみて口に合って美味しいと感じた者、元からこのシェフ(三木聡監督)の料理あるいは味を目当てで食べに来た者、何回か食べてハマってリピーターになるほどこのメニューが気に入った者なんかも少なからず間違いなく居て。

 大怪獣のあとしまつが、シナモンを使った一般的な普通に美味しいアップルパイだと言いたいわけではないし、そうとは言わない。でもアップルパイのレシピの一つの形だ。不味いと思う人がどれだけ多かろうが、これを美味しいと思う人たちもいる。
 アップルパイもあればミートパイもある。焼き林檎も焼肉も焼く料理であることには違いない。怪獣という食材の調理方法はこうあらないとならないとの教義もあるのだろうけど、万人に採択されて当然というものでもない。

 シナモン自体、調味料の一種で、私のように苦手な者もいれば、好む人も多いので普及している。(シナモンが好きな人、このような喩えに使ってホントごめんなさい。)

 口に合わなかった料理の感想を、自分を主語に「むちゃくちゃ不味かった」「あんなもの人間の食べるものとは自分には思えない」「二度と行くかあんな店!」等々文句を言うのは自由だと思う。己の感想は己自身の責任において発信する限り己自身のものだ。

 俺の私の大嫌いな「シナモン」のかかったアップルパイが出てきたことへの腹立たしさは各々伝わってくるが、口に合わなかった料理は二度と口にしないのが良いのだろうし、その店には二度と行かずかかわりを断つのが、ごく一般的な対応かと思う。でないと、あなたが心から嫌悪してやまないこの作品に心と時間のリソースをさらに浪費させられ続けたままいつまでもあとしまつは終わらない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?