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助けを呼ぶ「子どもの声」が聞こえる!

「朝ドラ」を観ていると、子どもの「泣き叫ぶ声」が聞こえた。

子どもの「泣く声」は、時々、外から聞こえることはある。

ところが、しばらく耳を傾けると、あきらかに助けを求めている。

「怖いよ~」

「誰か~きてくださ~い!」

何度も、繰り返して聞こえてくる。

ベランダに出て、「向いの建物」を私は見た。

下を覗くと、同じように「向かいの建物」の方を見ながら、立っている男性がいた。

歩道には、日傘をさした女性も、声がする「建物」の方を見ながら、止まっている。

「誰か~、来てください~」

再び聞こえる声に、下にいた男性が、その「建物」の方に、走って行った。

私も気になり、「家の鍵」と「スマホ」だけを持って、外に出た。

子どもの「声」がする「建物」の下に、私を含めて4人、集まった。

年配の女性の方が、

「何階にいるの~??」と下から叫んだ。

子どもは、まだ泣いていて、よく、聞き取れない。


私は、「ローラー作戦」のように、各階を確認しようと思って、階段を上がった。

2階に着くと、もっと「上の階」で「声」がしているのが分かった。

すると下にいた女性が
「11階に、いるみたいよ~」と、叫んで教えてくれた。

私の後に、男性が、階段を上ってきていたので、エレベーターで一緒に、11階まで上がった。

エレベーターのドアが開いて直ぐ、右側を見ると、男の子がいた。

「あ~!いた!」

もしかしたら、怪我でもしていて、救急や警察に連絡しないといけない状況も、想定していたので、男の子の姿に、私は、ひとまず「ホッ」とした。


「どうしたの~?」と聞くと、

「死んだセミが、怖くて、エレベーターのところまでいかれない・・・・」


あ~~~


そうだったの~

一緒に上がった男性と、とにかく「良かった~」と安堵した。


男性が、足で「セミの死骸」を除けてくれた。

「おじちゃんが、セミを隠してくれているから、一緒にエレベーターのところまで行こうね~」

そう言って、私は、その子の体を支えながら、エレベーターのところまで行った。

3人で、昇ってくるエレベーターを待ちながら、

「いくつなの? どこに行くの?」と尋ねると

これから「学童」に行く、小学1年生だった。

誰もいない自宅を一人で出て、自分でカギを閉め、水筒とリュックを背負って、歩いて「学童」まで行っているのだ。


「ちゃんと、助けを呼べて偉かったね~」と言いながら私は、その子の肩をさすった。

一緒に上がった男性も、「良かった~偉かったね~」と声を掛けた。


下まで降りると、待っていた女性2人も、事情が分かって、安心した。

ひとりの方が、
「おばちゃんが一緒に、学童まで送ってあげるよ」と言った。

しかし、その子は
「こなくていいよ~。ここからは、大丈夫、一人で行かれる。セミは落ちていないから~」と言って、一人で「学童」がある「児童館」に向かって行った。


彼の背中を見送りながら、集まった4人は、「解散」となった。



この季節は、私の家のドアの外にも、「セミの死骸」が、よく落ちている。家の周りは、木が多く、「蝉時雨」もすごい。

明日も、あの子は「学童」に行くのだろうか。

あの子の家の前にも、「セミの死骸」は、また落ちていることはあるだろう。

彼は、どうするのだろう・・・

もし今度、また、あの子が「助け」を呼んだら、その時は、駆けつけて、「ほら、大丈夫だよ」って、「セミの死骸」を一緒に触ってみようと思っている。

怖いけど・・・・


正直、私は、蝉が触れません・・・・

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