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母の刺繍

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半世紀に亘り、「雄鶏刺しゅう研究グループ」で、欧風刺繍(ヨーロッパ刺繍)に携わってきた「母の刺繍」について、「私が思うこと」を記事に書いています。 「刺繍作品」の裏にあるストーリ…
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2021年11月の記事一覧

「イギリスの狩りの風景」~「パトロン父の底力」と「母の刺繍」の関係を知る

実家を片付けていた時、この作品「イギリスの狩りの風景」を見つけた。家で、飾られた事がない母の刺繍作品だ。 「こんな額を刺したのね~!」と私は母に、ちょっと「すごいじゃない!」という気持ちを込めて言った。すると、何故か母は、期待外れの反応だった。母は、この作品を気に入っていない。 創作された作品をどう評価するかは、作った本人とそれを鑑賞する側で、必ずしも同じとは言えない。母の中で、「作らされた」という思いが強い作品なのだそうだ。だから、私からすると「素敵じゃない!」と思うこ

母の刺繍作品の「醍醐味」を知る~!

「パッ!と観ただけでは分からないところ」に刺繍作品の「醍醐味」って、あるように思う。作品に近づいて、どんなふうに刺されているのかをじっくり見て、初めて「わ~」と思う作品がある。 母の刺繍作品の中にも、改めてよく見てみると、ものすごく手が込んでいると感じるものがある。最近、そう感じたのが、緑の布地に、黄色い花が描かれているこの作品だ。(額縁サイズ:45㎝×57㎝) この作品が、実家で飾られていた時期があったのを覚えている。 当時、私は、細かいところまでちゃんと見ていなかっ