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着物のお袖の表情。

暑くて 半袖やノースリーブの方が多くなりました。
着物には半袖はないので みんな長袖です。
でも裄の長さには個人差がありますね。
私は結構短めが好きで。
これは 紬や木綿であること、
そして 仕事着であることを中心にして考えているからです。
店では 掃除も水仕事も着物でしますから
裄が短めのほうが 何かと支障が無いのです。
エレガントではないですけどね・・・
実用本位です。

実用、ということでは
もう一つ、袖の丸みについてお話したいと思います。

袖丈は現在、1尺3寸(約49センチ)が標準で
身長やお好みで 1尺2寸~1尺5寸がほとんどです。
そして袖の丸みは特に注文を付けなければ5分です。

元禄袖とも呼ばれる 丸みの大きい袖は
大正時代、女学生の和服の制服に多用されたもので
元禄時代の袖、という意味ではありません。
丸みが大きいと同じ袖丈でも短く感じるのは
手を下げた時の袂の具合によるものです。
 元禄袖は袂が小さく 邪魔にならないので
女学生の活動着に似合っていたのでしょう。

袖丸を大きくすることは
きものに若々しさや愛らしさを与えます。
また 快活な雰囲気で
お洒落度も高くなります。
大柄の小紋などは 丸を大きくすると 
若々しく またレトロな雰囲気を
出すこともできます。

袂、とは本来袖が短く裄が長い着物の
「手元」、つまり袖口辺りを意味しましたが
袖が大きくなり、下の袋状の分部を指すようになりました。
女性のきものにとって袂は
振袖のように 長さで未婚を表したりすると同時に
袂を使う仕草は 歌舞伎の女形などにも取り入れられ
女らしさを感じさせる部分となっています。
 
きものの袖は5分でも
道中着や道行を2寸ほどの丸みで作ると
柔らかさと遊び心が感じられて楽しいです。
中の着物と丸みが合わなくても
着物の袂をちょっと折って着れば問題ありません。
また、コートの袖丈を着物より1分短くすると
中で着物が動かずに収まります。

袖一つにもいろいろな表情があって
きものって本当に楽しいです。

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