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しつけのお話

新しい着物がお手元に届くと しつけ がしてあります。
しつけには 実用のしつけと 飾りのしつけと2種類あります。

飾りしつけ・・・ぐし縫い、ぞべ、とも言われます。
柔らかもの、その中でも格のあるものに施され、外さないものです。
うちの店では黒留、色留、喪服くらいしか入れませんが
関西方面では 訪問着、色無地にも入れることが多いそうです。
また 総絞りの着物には飾りの意味以外にも 
ふわつく生地を押さえる目的で ぐじ縫いを入れることがあります。
仕立士さんや 他の呉服屋の友達にも聞いてみましたところ
お客様のお好みで小紋に入れることもあるそうです。
紬には入れないみたいだけど・・・
また、飾り躾を付けると その分の仕立代が掛かりますので
仕立代を高くするために入れている店もあるとか、ないとか。。。
また 本来は生地が落ち着いたら外していいものだそうで
皇室に献上される着物は全て 外してから収めるそうです。

実用のしつけとは 仕立て士さんが
縫い目や折り目、きせが崩れない様に固定するための「仮の押え」です。
着物(襦袢もですが)を仕立てるとは 単に着物の形にするだけでなく
仕立てた布を落ち着かせて初めて仕立て上がり、です。
なので仕立てあがってお納めする時には
今、生地を落ち着かせて仕立て上がったばかり、
まだ袖を通してません、新品です、という意味合いも含めて 
しつけが掛かっています。

   
しつけを取るのは結構面倒な作業で
外からは見えない襦袢のしつけは ついつい後回しになりがちです。
私は 人様から見えてしまう袖口、振りは外しますが
他はそのままで着てしまいます。
着てる内に しつけ糸が切れてほつれて来たら
きれいに外しますが それまでそのまま^^;;
初めに全て外してしまう方もいらっしゃいますが
お襦袢に関しては どちらでも構わないのでは、と思います。
しかし 着物のしつけは付けたままはご法度。
時々 お見受けしますね、しつけの外しそこない。
着てから慌てて外すこともしばしばな私は
衿の外側や振りの辺りに外し損うことが・・・・いけませんなぁ。
 
  

しつけ・・・はつまり躾、ということで
美しい身のこなし。
着物にとってもしつけを付けることで
生地が落ち着いてより美しくなります。 

またしつけの外し方で「旦那さんに取ってもらう」というのがあります。
この旦那とは亭主ではなく、いわゆる「旦那さん」です。
それも下前の1本だけ・・・・
つまり、人に上前をめくって下前全部を見せるこは無いけれど
旦那さんにはそれをして、抜いてもらうわけです。
着たまま抜いてもらうことになります。
旦那さんから買ってもらった仕立て上がりの着物を着て会う日は
「最後の1本を抜いてもらう日」でもあるわけで・・・・。
人によっては「あなたが来るまで着るのを待っていました」との意味で
着る前に旦那さんに躾を取ってもらう、という説もあるようです。

裾には独特の縫い方で飾りを施し、
仕立屋さんごとのマークにもなっていたりするそうです。

リサイクル品でも しつけ付き、というのは未着用の代名詞になりますしね。

お嫁入道具として着物が必須だった時代には
地域によっては しつけを細かく施して 外すときに時間をかけて
親へのありがたみを感じるように、とされたそうです。
でも 時間のない私たち。
自分で買った着物には 
親への感謝やお客様へのお礼もへったくれもないので
面倒~~という方は事前申告してくだされば
しつけを外した状態でお納めすることもできますので
お申し付けください。
じざいやの しつけ糸は外しやすいように玉止めを
外側にしています。

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