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着物の羽織を考える。

急に涼しくなってきて
洋服も羽織物が1枚欲しくなってきました。
着物もそろそろ羽織ものを考えるシーズンです。

秋や春でも 帯付きで出歩くのは なんとなく気が引ける・・・
もしくは 何か羽織ってないと晴れがまし過ぎる、
そんな気がすることがあります。
そんな時 洋服で言えば 
カーディガンやスプリングコートに当たるような
軽やかな単衣の羽織やコートが便利です。

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羽織は本来 男性の正装でしたが
江戸時代に 芸者さんが着始めたのから流行し
女性も着るようになりました。
ですから 着物としては歴史の浅いものです。
それゆえか アイテムとしての位置づけがまばらで
悩ましいものにもなっているようです。
その上、紋や丈によって格が変るのも
難しく感じさせるところのようです。

簡単に言ってしまうと 羽織にも格と種類があり

本羽織…膝下以上の丈があり、柄付けは黒無地に紋付、
     もしくは 訪問着的な絵羽柄です。
     紋付、色紋付、訪問着などに、
     礼装として着ることが出来ます。
     紋が付いていると 
     下に着る着物の格を上げることが出来ますが
     上げても「略礼装」まで。
     昭和30年代に流行った黒羽織を思い浮かべて頂ければ。
     現在ではこの着方は少数になってしまったため
     羽織は礼装には着ないと思われていたり
     レトロ感をかもします。
    
中羽織…現在、普通に羽織と呼ばれているもので
     丈は様々、小紋や紬などに合わせる洒落着です。
     柄も無地、縞、小紋柄など、生地もお好みで。
     紋はつけません。付ける場合は家紋ではなく洒落紋を。

茶羽織…戦後、ものがない時代に
    1反から2枚の羽織を仕立てたため
     「マチ」が無く、お尻の途中位までの丈。
     普段の日常着としての羽織。
     母の箪笥や 古着として見かけます。
     塵除け。
    

春秋の羽織ものは 
長羽織でも少し短めで軽やかな雰囲気が魅力的です。
これからの季節には、銘仙や大島のようなサラリとした生地で
単衣の羽織を1枚作ると 春、秋用に便利で活躍してくれます。
羽織でなく コート(道中着)に仕立てると
冬は羽織の上から着たり 春秋は塵除けになり
ガード加工をすれば 雨の降りそうな日にも安心です。
透け感のある生地でしたら夏にもお召しになれます。
紬や木綿用に 小千谷縮からの羽織、雨コートもお勧めしていますので
ご相談ください。
夏大島や絽の小紋などなら 夏の柔らかものの上にも重宝します。
着物から仕立て直すこともできますので
古い大島紬などを活用するのもいいですね。

20161029銘仙羽織

また、12月になれば
どんなに暖かな日でも
何も羽織らずに出歩くのははばかれます。
ショール一枚でも肩に掛けて
帯がむき出しになるのを避けるのが
冬の着物のたしなみだと思います。 

初めてコートを誂える、という方から
どんなコートにしたらいいか、質問を頂きますが
自分の楽しみで着物をお召しになる場合は
羽織をお薦めします。
室内で脱がなくてもokですが礼装にはなりません。
かつては絵羽羽織や無地羽織に紋を入れて 
小紋の上に羽織って格を上げる、ということもありましたが 
現在ではほとんどしませんので
あくまでもお洒落で趣味性の高いコート、
カーディガンやジャケットの感じでお召しください。

羽織の美しさは
衿から肩、お太鼓の脹らみを通って
流れるラインの優雅さにあると思います。
着る方の身長や 柄の入り方、お好みで
長さはまちまちですが
膝上くらいまでは長さがないと
優雅なラインにはならないです。
腰が隠れるだけの短い、いわゆる茶羽織は
活動的で日常的は生活着です。

何枚も羽織を持てなくても
羽織紐を替えるだけでもイメージが変わりますので
組紐タイプやトンボ玉、まるぐけ等
いくつか揃えておくと楽しいものです。

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