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襦袢のこと。

じざいやでの人気商品 120番手の麻襦袢。
夏はこれを着てしまったら 他の襦袢は着られないので
盛夏用に白で 単衣用にも好みの色に染めて、と
お一人で二枚持っている方も多い 優れものです。
薄物の下の襦袢は 涼しさはもちろん
結構 透けて見えるので 重要アイテムです。

まず、襦袢とは何か、というお話から。
今でこそ 二部式襦袢、半襦袢は簡易式とされ
長襦袢が正式とされますが
元々はポルトガル語の「JIBAO」が転化したもので
このJIBAOとは男性用のシャツのことでした。 
ですから襦袢の始りは半襦袢からでした。

江戸時代の前には着物は十二単でした。
打掛・小袖の下に内小袖と呼ばれる内衣装があり
さらに肌着・裾よけになります。
(一番下は肌着・湯もじです)

江戸時代になり庶民が力を得て
着物や着付けにもいろいろなアイテムが登場します。
当時のファッションリーダーは歌舞伎役者と遊女でが
長襦袢は遊女たちの間で生まれました。
脱ぎやすく(脱がされやすく?)見た目も良い下着として
生地や柄にも凝った長襦袢が作られるようになったのです。

振りや裾から ちらり、と見える襦袢。
遊び心も揺れ動きます。
着物ならではのチラリズム。魅せる下着としての楽しみがあります。
着物好きが最後に行きつくのも襦袢だと言われます。
下着である以上、消耗品でもあります。
奢った襦袢をお召の方をお見掛けすると 
あ、通だな、こだわりなんだな、と感じます。
襦袢は着物よりはお安いので
(本紅で30万の襦袢、とかもありますけど)
楽しみを増やしやすいですしね。
 
ところで、麻のお襦袢。
呉服業界では麻物は盛夏のものとされています。
しかし近年の温暖化ですから
暑苦しいのを我慢してないで少しでも楽に着ることが
着物を楽しく長続きさせるコツではないでしょうか。
25度を超える夏日が続く5月、単衣でも暑いです。
そこで麻のお襦袢なのです。
襦袢用の麻は直接肌に触れるため細くしなやかな糸を用います。
ですから柔らかものの下に着ても
それほど沿いが悪いと感じません。
正絹襦袢で汗べっとりで捌きが悪くなるより良いと言えます。
紬や木綿の下なら全く問題なしです。

単衣の下に、真っ白な襦袢だといかにも夏物を流用している感じですが
少しだけ色の付いたものがお薦めです。
先染めで色の付いたものや
白い麻襦袢地をお好みの色柄に染めることも出来ます。
あまり濃い色柄だと今度は
盛夏の透ける着物の下に着られなくなりますが・・・
いっそ単衣用の麻襦袢、と割り切ってしまっても
出番は多いと思います。
グレーや濃い目の紫などに染めると
薄物の透け感を抑えて 
夏大島などの夏紬を6月9月に着てしまっても違和感が少なくなります。

もう、暑がりさんは1年中麻襦袢、という方もいらっしゃいます。
それでいいんです。
昔とは気候も違うし 着方も、着る目的も違うのですから
今の気候と着方にあった形で着物を着ることに
もっと自信を持っていいんですよ。

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