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杢(もく)の紬。杢とは?

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杢の紬を欲しい、というお話がありました。
杢糸で織られた紬、ということです。
杢糸、てご存知でしょうか?
無地のようで 無地でない、
洗いざらしたデニムのような霜降り状で
微妙な ほっこりした感じの色に織り上がります。

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杢糸は 撚糸の一種ですが
2種類以上の糸を一緒に撚った糸のことです。
昔は 糸が貴重で
余った色糸を無駄にしないために作られたようですが
今は 織りに面白みを出すために使われます。
しかし 杢糸を作るのは
とても面倒で また、機械で撚糸する場合には
色が残って次の撚糸に付くこともあるので
嫌がられると言われます。
 
結城の場合ですと、杢糸も
人の手で撚られますから
ものすごい手間と労力が必要になります。
結城の杢糸を作るには
男性二人掛かりの力が要るそうです。
杢の結城は めったにありませんが
絣はなくとも無地よりは割り高になっていると思います。

ですから 杢糸を使わずに
杢糸風に 糸をまだらに染めたり
また 経緯に 違う色を織り込むことで
杢糸を使ったような色調に織られた反物もあります。


経横に違う色を織り込むと
玉虫、といって 見る角度によって違う色が
浮き出てくるような織りもあります。
二色を撚った杢糸を使うと
霜降りのような、着古したデニムのような
独特の味わいのある織りになりますが
違う太さや 違う種類の糸を撚った杢糸では 
その糸の性質によって様々に
風合いに面白みが出てきます。

織り方を変えなくとも
糸を変えることで
ちょっと変わった織りにすることができるのです。
杢糸だけでなく
糸の煉りを変えたり、太さをほんのチョット変えるだけで
驚くほど生地の風合いが変ります。 
(同じ糸で織っても 手織りのものは
 織る人が違うだけで風合いも様々ですが・・・)

逆に言えば
手織りの紬に
もうちょっと柔らかさが欲しいな、とか
もっと張りのある生地だと単衣に出来るな、とか
糸を変えてもらうことで調整できる部分はあるのです。
帯など 糸の違いで締め心地が全く違うので
着物以上に糸にこだわりたいものです。

また きちんとした作り手ほど
糸にこだわっているものです。
織りのきものは
ぱっと見た目の良さよりも
着た時に しみじみと良さを感じられるのは
素材の良さから来るものです。
1枚のきもの、帯と 長く付き合うためには
吟味した素材が使われたものを選んでください。

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