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衣装から能を楽しむ。

コロナで歌舞伎や能などの伝統芸能はとても苦しい状況になりました。
歌舞伎はようやく8月から コロナ対策公演が始まりましたが
まだ以前のような通しではありませんし
能や狂言、文楽は中止、延期も多くて能楽師さんも苦労されています。
劇場は閉鎖され、お稽古も中止、生徒さんも離れていく中で
~新型コロナウイルス終息祈願~公演もされていましたが
席を1つづつ空けて、ですから満席でもいつもの半分です。
国からの支援も ものすごーーーーく手続きが煩雑で大変なのだそうです。

じざいやでは 金春流の山井綱雄さんとご縁があり、
年に2,3回は 山井さんをお招きして
能講座を開催、手が届く距離での 舞を拝見できる機会を設けていました。

しかしコロナでそのような催しもできず寂しいばかりです。
もう少ししたら また山井さんに来て頂いて
能のお話や 美しい舞や謡をご披露頂きたいと思います。

そんな山井さんの会で 以前、能衣装を着せてもらえる、という
イベントを開催しまして 能衣装について伺ったので
その時のお話を。。
能に少しでも親近感がわいて
能を観に行きたいな、と思って頂けましたら幸いです。

歌舞伎よりも敷居の高さを感じさせてる能ですが
その中にある「お約束」を知っていれば
ぐっと身近で判りやすいものになります。
 

能に使われる衣装を、能装束(装束)と呼びます。

代表的なものは、女性役の上着として用いられる「唐織(からおり)」で、
伝統的で格式があり、絢爛豪華さにおいて世界の舞台芸術の中でも
トップクラスといえます。

唐織は、能装束の代表ともいえる、豪華な装束で、
主に女性役の上着として用いられます。
「唐織」とは、「中国風の織物」の意味で、
もとは、蜀江の錦織に倣ったものといわれています。
金糸、銀糸を始め、色鮮やかな糸を使って、
草花や文様などを浮織にした小袖です。

唐織を「着流し」というスタイルに着付けたものが、
能に登場する女性の平均的ファッションです。
「着流し」は、胸元をひろげて前で合わせ、
裾をすぼめた逆三角形に着付けるやり方で、洗練された印象を与えます。

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能は歌舞伎と違い、着付け師さんはいませんので 
能楽師さんが自ら着付けます。
なんと その場で糸で縫い留めて重い衣装を固定します。

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観阿弥・世阿弥時代の装束は、
日常の衣服を用いた質素なものだったといわれますが、
将軍家を始めとした武家や貴族階級がパトロンとなり、
褒美として自分たちの衣を与えたことから、
しだいに豪華なものが用いられるようになりました。
さらに、安土・桃山時代の絢爛豪華な文化の隆盛と相まって、
芸術工芸としても優れた作品として重用されるようになったのです。

このようにすぐれた美術作品となった装束は、
役柄に対して「リアル」ではありません。
例えば、貧しい漁師や汐くみ女の役でも、
その当時のその職業の人の恰好をしているわけではありません。
能では、装束を通じて、あくまで様式的に、
象徴的に役柄を表現しています。

能装束は、その役柄をリアルには写し出しませんが、
役柄によって取り合わせが決まっており、
約束事を知っていれば、性別、年齢、身分、職業、性格といった
さまざまな情報を読み取ることができます。

分かりやすい例では、色による決まりごとです。
女性の装束では、赤が入っているものを「紅入り」、
入らないものを「無紅」と称しますが、
紅入りなら若い女性、無紅なら中年の女性を表します。
これは、上衣である唐織だけではなく、
鬘の上につける鬘帯や、腰帯に至るまであてはまります。

また、襟や重ね襟の色にも決まりがあります。
襟には、白、浅葱、赤、紺、萌、などの色あり、
さらに襟の重ね具合によって役の品位の上下が決まります。
能では、白が清浄無垢な色として重要視されているので、
白襟二枚重ねがもっとも上位となります。

舞台でどの装束を着るかを決めるのは、シテの役割です。
能装束では、決まりさえ守れば意匠や色調の組み合わせは自由なので、
個性を発揮することができます。

どうです?
もっといろいろ 能について知りたくなりりませんか?
詳しく知りたい方は ぜひ能を観に行ってください。

じざいやでも また能楽講座を行いたいと思います。

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