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チャンチン染ってなに?

チャンチン染めのチャンチンとは、
ロウケツ染の蝋を入れる器具のことです。
ジャワ更紗、バティックなどの名前で親しまれている染ものは
インド起源の更紗文様から発祥し
18世紀頃は貴族階級にのみ許された高級染物でした。
動植物や神話をモチーフにしたそれらの染は
インドネシアでチャンティンと呼ばれる蝋描きのための器具の開発により
細密にして優美、繊細な表現を可能にしました。
熱い蝋で点描をするのは根気の要る作業で点の粒を揃え、
密集させることに作家の力量が問われます。

これがチャンチンという器具です。

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細い竹筒の先にポットと注ぎ口を付けた
チャンティンと呼ばれる器具を使った技法は
柔らかな線と精密な表現が可能な分とても手間隙のかかるものです。
インドネシアでは日本の友禅のように伸子で布を張ることをせず、
手の上で布を動かしながら蝋描きをするので火傷が絶えません。
松から得られる蝋を溶かして使います。
ポットの先端には注ぎ口があり、この太さを選ぶことにより、
力強い太線から繊細な細線まで表現は自由自在です
とても細い線が描けるチャンティンですが
一度にすくったポットの蝋で描けるのは20センチほどです。
1つの柄が描き上がるまでに
何百、何千回と蝋をすくっては描き進むのです。


抽象化された花や草木、動物などがモザイクのように組み合わさって、
独特の異国情緒を醸し出す更紗模様。

チャンチン帯


じざいやでお願いしているチャンチン染めは
京都にお住まいの橋本文子さんという女性の染色作家です。

インドネシアから取り寄せた蝋を使い、
チャンティンを使ったローケツ染めで、
更紗模様の着物や帯を創作しています。
橋本さんのモチーフは、
インドやインドネシアの、ある意味土俗的な力強い更紗とは一味違い、
女性らしい細やかで優美な雰囲気があります。
加えて、南国のような烈しさではない、
やわらかな日本の日差しのもとで映える、
透明感のある美しい色遣いも特徴の一つ。
インドネシアでは水質の悪さなどから渋い色目になってしまう色彩を
明るく澄んだ色とぼかしの多用で華やかで品のある作品に仕立てています。
その感を十分に生かした、さらりとしたコーディネートを
四季折々に楽しみたい作品たちです。

橋本さんのチャンティンは ここ数年で進化しています。
より細かく精密に。
上質なバティックならではの細やかな点描を日本の柔らかな色彩で。
年齢的にこの細かさが出来るのはあと何年か、と考えたら
今のうちに最高のものを残しておきたい、と思ったのだそうです。

12月位に橋本さんをじざいやにお迎えしての作品展を
開催出来たらな、と思っています。
橋本さんに横浜にいらしてもらうのは本当に久しぶり。
画像には再現しきれない 美しい染をぜひご覧ください。

         

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