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着物の記号。

お正月に柔らかものが着たくなります。
今年は 寸法が合う小紋がなくて断念しました。
コロナですっかり肥えてしまいまして💦
お客様も 訪問着で華やかにご来店くださる方が多かったです。
お正月らしい気分になりますね。

着物は柔らかものも 紬も 基本の型は同じですから
カテゴリーを区別するための記号があります。
昔は 着る側の人間にも明確な区別、というか差別がありましたが
今は どんな人が どんな着物を着ても許される時代になりました。
もちろんTPOはありますけど・・・

カテゴリー分けの記号とは
つまり この階位の人はこの色、形、柄を着てよい、という
階級による区別であり 
着物によって 階級を見分ける記号でした。
髪型も 年齢、既婚・未婚・身分など明確に区別されていたのです。

それが 階級が無い時代になり
記号の意味もあいまいになっていったのです。

成人式で着られる振袖の長い袖、というのも1つの記号です。
未婚の女性の正装、という記号ですね。
正装が礼装である場合には 記号の持つ意味は明確で絶対です。
しかし 正装が盛装になっている近頃は
華やかなものが格が高い・・・と思われるようになってしまいました。

着物の格の話は 紋なども関わってくるので
話すと長くなるのですが
今回は 盛装の中の 訪問着と付下げのお話です。
あー 相変わらず 前降りが長い!
訪問着と付下げの違いは ささっとね。
 
訪問着。
この名称は、三越が大正時代の初期に命名したものと言われています。
着物の模様が あらかじめ絵羽裁ちされた生地に柄が繋がるように
描かれます。
(着物の反物は、袖2枚、身頃2枚、衽2枚、衿1枚、掛け衿1枚の
 8枚のパーツに裁断され仕立てられます。
 留袖や振袖、訪問着は、全体に絵柄を描くために、裁断した白生地を
 一度き着物形に仮仕立てをします。これを仮絵羽といい、
 仮に仕立てたきものに下絵を描いたら、解いて1枚の反物状態に戻しま す。)
裾の模様は、
上前の衽から、前身頃、後身頃にかけて柄が連続するようになっています。
その場合の、衽と身頃などの合わせ目を「合い口」と呼び、
その部分の柄が繋がっていることを「合口があっている」と言います。
かつては全ての合口があっていなくとも訪問着、と呼ばれたようですが 
現在は少なくとも衽と前身頃、脇、
左右の後身頃の合口があっているものを訪問着を称しています。

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それに対して「付下げ」とは
元々、裁って仕立てたときに
柄が全て上向きになるようにした着尺のことでした。
今は付下げ小紋(一方付け小紋)といわれるものと、
訪問着に似たものと2通りに使われます。
付け下げ小紋(一方付け小紋)とは、
小花や幾何学模様なら柄の上下はあまり問題になりませんけど
人形や動物、風景の柄をつけた場合、仕立てると
場所によって完全に上下が逆立ちしてしまいます。
それを防ぐために指定した通りに裁てば
柄が逆立ちしないように染めたものです。
付下げでも 合口を合わせたものもあり
訪問着と区別のつきにくいものも多くつくられました。
このとろこの不況で 訪問着も付下げも柄の量を減らして
手間をかけない分 値段を下げたものが増えましたが
逆に着物がよく売れた時代には
手間隙を惜しまず たっぷりと柄を描き込んだものが
多かったので 区別がつきにくくなってしまいました。

柄の多い訪問着と付下げの区別は
売られている時に 仮仕立の絵羽になっているか
反物のままか、という点が一番分かりやすいと思います。
訪問着は製作の時に生地を裁って
仮絵羽の形にしてから彩色しますが
付下げは 反物のまま、裁ち位置を指定して
ここは袖だからこの柄、衿だからこの柄、と
描き込んでいきます。
小紋や付下げでも 絵羽にして売っていることもありますが
その場合、多くは八掛がついていないことで
区別できると思います。

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