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着物初心者にお勧めの着物とは?

お客様が時々、「私は着物初心者ですから・・・」と言われます。 
その後に続くのは
「そんな高い着物は・・・」や
「高級なものはまだ判りません」という言葉だったりします。

着物初心者。
日常に着物を着なくなった現代は
生活の中で自然と着物が身に付く機会はほとんどなく
「着てみよう!」と思い立った時はみんな初心者ですね。
着てみよう、のきっかけは 
どこかで素敵な着物姿を見かけたからかもしれないし、
どなたかに着物を頂いたからかもしれません。
きっかけはどうであれ、着てみたい、と思ったら気持ちを
大事に育んで頂きたいと思います。

初心者の方に着物をお薦めするときは
まず、その方が どのような着る場面をお持ちなのか、から考えます。
お茶のお稽古を始めたので
お茶席で着るために必要なのか
日常の延長のちょっとしたお食事会や観劇などにお召しになりたいのか
友達と会うときにも洋服と変わらない感覚で着たいのか。。。

どの場面で着るにつけ
「初心者ですから安物でいいです」とか
「初心者ですからポリでいいです」「古着でいいです」の言葉が出てきやすいです。
「これで、いいです」ではなく
初心者だからこそ、
きちんとした 着心地の良い、着易い着物を
「これが、いいです」と言って頂きたいのです。
 

親御さんから買って頂く最初の一枚は
色無地が多いと思いますが
それは 若いお嬢さんが色無地を持っていれば
卒業式、お呼ばれ、親戚の結婚式など
使いまわしも良く、上品な装いだからです。

でも 自分で自分のために選ぶ最初の一枚は
「自分が好き」を前面に、なおかつ
上質で着心地の良い着物であって欲しいです。
上質=高額、という意味ではなく
汚すかもしれないから・・・と
最初にポリにしてしまうより
天然素材の着物で その着心地の良さを知ると共に
汚さないように着る、という心遣いも覚えてもらいたいです。
着物に慣れた上でのポリならば
着崩れした時のコツも判り
ポリ故の 気楽さを楽しめるようになりますが
最初のポリの着物で滑って着にくかったり
暑くてベタベタしたり、と、いやな思いをすると
着物嫌いになる要因ともなりかねません。
この頃は上質のポリも出ていますが
上質のポリは 意外と高額でプリントの絹小紋や
機械織りの絹紬と変わりません。

お薦めしたいのは
唐桟やさつま木綿などの糸質のいい、しなやかな木綿。
それも縞や無地、格子のものです。
手織りでも 無地や縞なら10万程です。
単衣にして縫う糸を吟味すれば自宅での洗濯も可能です。
袷にするなら 八掛に凝ってみるのも
無地や縞ならではの楽しみ方です。
それに 質のいい八寸を1本。
金銀の入らない 季節感のない柄が最初は便利です。
着物1枚に帯3本、とはよく言ったもので
袷(胴抜き)の着物でしたら
まずは 季節感のない帯。
そして 春らしいものか 秋らしいもの、と
季節を感じられるものを揃えて行くと
コーディネイトの幅を広げ易いです。

無地の紬でしたら
洒落袋帯、という選択もできて
コーディネイトの幅は一層広がります。
おもいっきり派手なアンティークな羽織も
無地の紬の上なら臆せずに着られますね。

値段が高い安い、ではなく
最初の一枚は できるだけ質が良くてシンプルなものが
着まわし良く コーディネイトもし易く
長く楽しんでいただけると思います。
(でもね・・・惚れてしまったら派手小紋でも民芸調絣でも
 好きで着れてしまいますから それはそれで)

いつでもお気軽にご相談ください。

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