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白大島

大島紬、と聞いて黒い(泥染)の大島紬を思い浮かべる方が多いと思いますが、白地の白大島紬も人気があります。
特に春先の白大島は かろやかで美しく、雨にも強くて
着物好きなら1枚は欲しいアイテムですね。

今、その白大島紬は絶滅の危機にひんしています。
白大島紬について書いたメルマガから。。

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奄美で織られている白大島紬は
一度泥で染めたものを脱色して白くした
ほんのりベージュ掛かったものと
全く染めずに白いままで織り上げるものとがあります。

島紬には 奄美のものと 鹿児島のものがあるのは
ご存知だと思いますが
鹿児島の白大島には
白泥大島、と呼ばれる白大島紬があります。
これは 昭和61年に特許を取って
「白恵泥」と商標になっているものです。
奄美から鹿児島に移って来た
恵さん、という織元が
(お笑いタレントの ほんじゃまかさんの実家です)
奄美に負けない 美しい大島を作りたい、との思いから
作り上げた独特の色艶を持つ白大島です。

奄美の泥染めはタンニンを多く含む土の泥で
テーチキによる下染めの後、
「カラスの濡羽色」と呼ばれる黒を染め上げますが
白恵泥は 薩摩焼、という
鹿児島特産の 磁器を作るのに使う土で染めます。
火山の土地でもある鹿児島には
熱から生まれた白い土があり
400年も前から 白薩摩焼として使われてきました。
これで 奄美の泥染めと同じように
染められないかと試行錯誤を繰り返し
作られたのが 白泥染めです。
薩摩焼の土の採掘現場へ何度も行っては
採取した土を様々な方法で精製し
泥染めを繰り返して 現在の鹿児島白恵泥が完成されたのです。

薩摩の白泥はとても粒子が細かく
糸を傷めることなく 糸に艶としなやかさを与えてくれます。
染め上がりは 乳白色です。
白い糸を 白に染めるのですが
染める前の糸と比べると
深く温かみのある ふんわりとした白です。
それをさらに草木染にしたものもあります。
鹿児島の大島紬は化学染料が多いのですが
藍や他の草木染も一部でなされています。
 
しかし現在 この白恵泥大島紬も
不況と後継者不足により 生産が止まっています。
織元と流通上にある 在庫のみで終わりです。
残念ですが 今の業界では
あちこちがこのような状況になっています。

いつの日にか沢山の方々が 
着物を着て楽しむ日々が来れば・・・
また 復活することもあるかもしれませんが
一度 失ったものを復活させるには
3倍、4倍以上もの労力が必要とされるのです。
 
着物が消えてしまわないよう
着物を楽しんでください。

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白大島の中でも 珍しい「割込み絣」については こちら

お母さまやご親戚、お知り合いから着物を譲って頂くと
1枚は大島紬が入っていると思います。
高度成長期には 大島紬を買う、というのは
憧れであり、ご褒美でありました。
受け継がれた着物をここで終わりにしないで
この先にも受け継いでいくために出来ること。
「着る」ことが一番で 唯一の方法だと思います。

着物を着てください。

マンツーマンの着付け教室、始めました。

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