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本場結城紬の証紙~本物を知るために覚えておくこと。

2010年11月16日、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が
無形文化遺産の代表一覧リストに、
沖縄県の伝統歌舞劇「組踊(くみおどり)」と
茨城県などに伝わる織物「結城紬」を記載する事に決めました。

「本場結城紬」は地域ブランドとして登録されています
結城紬には大島紬以上に多くの○○結城が存在していて
ラベルもわざと似せて作られているので
慣れないと区別は難しい状況です。

無形文化遺産になったことで
生産量は激減して 昭和55年の3万反を越えるのをピークに
現在は当時の2%ほどにまで落ち込んでいます。
その、本場結城紬が盛り返すのなら嬉しいのですが
便乗なのか、なんでもかんでも真綿の紬を「結城」と呼んでいることもあります。
全国の商店街にあるナントカ銀座みたい。
ちゃんと作ったものならば 結城を名乗らなくても
堂々と別名で売ればいいのに、と思います。

結城紬は旧結城藩の地域(結城市内とは異なる)
で織られたものだけで産地の他に
1.糸は全て真綿より手紡ぎされたもの
2.模様(絣)をつける場合は手括りによるもの
3.地機で織られたもの
という条件があります。
この条件を満たし 検査に合格すると
「本場結城紬 地機」というラベルが付きます。

「結城紬」と言われて反物を見せられたら、 
まず、確認して頂きたいのは
桑の葉に囲まれた赤い「結」の文字です。
ここが「紬」になっているものが多く見られます。
3つの条件をかなえてない、ということです。
そして 横長の「真綿を手紡ぎしている婦人」の絵。
これが 「糸車を回している婦人」の場合も本場結城紬ではありません。

緑色のシールや割り印のある証紙にも 真綿を手紡ぎする婦人の絵です。 
また 大切なのは検査証の割り印です。
この検査証は、幅、長さ、打ち込み本数、模様ずれなど、
厳しい検査に合格したものに貼り付けられ、
割り印が捺されます。
割り印は剥がすとズレてしまい、偽造できないので
この割り印をしっかり確認してください。

また、反物の織り始めが輪になっているのは
地機で織っているからです。
越後上布などの地機の織物は
輪になっていることが多いです
(輪になっていなければ地機ではない、という事ではありません。)

そして証紙の貼られた部分の下に太く真綿の入っています。     
この真綿の中に糸を引いた人、絣をくくった人、織った人の名前などが
書かれた和紙が巻き込まれています。
本物だけが持つ 責任感の表れです。  

平成17年以前にはラベルに重要無形文化財、という文字が
ありましたが 現在の証紙には入っていません。
それは文化庁の指定要項が変って
先の3つの条件全ての工程を
「財団法人重要無形文化財結城紬保存会」
の会員が行わなければならない、とされたためです。
実際には何十年も本場結城紬を作り続けていても
会員になっていない人が多く
3つの全ての工程を会員だけで行うことが困難なため
本場結城紬検査協同組合が新しいラベルを発行しました。
本場結城紬検査協同組合の検査の厳しさは日本一といわれ
糸質や色の堅牢度、絣のズレなど20にも及ぶ検査を経て
合格したものにのみラベルが与えられるのです。

無地や縞・格子に限り高機でも「本場結城紬」の名称が
許されますが その場合はラベル内に高機と明記され
区別されます。
この証紙には必ず 割り印が捺されます。
貼り換え防止のためです。

余談ですが
平織りの本場結城紬には 必ず、反端に白い耳があります。
無地でも縞でも絣でも、です。
そして 本場結城縮みには白い耳がありません。
これは 組合に持ち込まれた反物が
山のように積まれていたときに(今はそんな光景はありませんが)
すぐに 平織りなのか 縮みなのか区別できるように、ということと
縮みは その名の通り 緯糸に撚りをかけた糸を使い、
織りあがってから糊を落として撚りを戻し、シボのある状態にするのですが
シボのある分反幅を広く織ってあるのです。
手間隙かかった撚り糸を使うのに耳が白のは勿体無いとの事なのです。

   

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