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虫で染める、コチニールのお話。


木々が色づき始めています。
葉っぱも実も。
犬の散歩の途中に臭木、という
綺麗な水色を染められる実がなっているのですが
斜面が好きな樹木で 届かないんです~ 悔しい。
花の時には特有の匂いがあるのですが こんな実です。

20201017臭木

ガクの赤紫と実の青の対比が美しいです。
このガクの方で染められないのかな~と思いますが 
ほとんど染まらないそうです。
このガクの色に染めることが出来るのは コチニール、という染料です。

草木染、と言いますと草や木、せいぜい木の実で染めると思いますが
動物性染料も 広い意味での草木染に入ります。
それは 貝から採れる「貝紫」と
虫から採れる「コチニール」と「ラックダイ」です。
コチニールはメキシコ産のウチワサボテンに、
ラックダイは インドのナツメなどに付くカイガラムシの一種です。
それぞれ 赤紫の色素を作ります。

私はコチニールの色が大好きなので 今日はコチニールのお話を。

コチニール

コチニールはメキシコ原産のウチワサボテンに寄生する虫です。
この虫から採れる赤紫の色素は、中南米の染織に古くから使われ、
プレインカ帝国やインカ帝国の遺跡から
コチニールで染めた裂が多く発掘されています。

コロンブスが新大陸を発見して、メキシコはスペイン領となりましたが
スペイン人は 原住民のインディオがサボテンに付く虫から
美しい染めをしているのに目を付け、
その材料のコチニールを乾燥させて貿易品としてヨーロッパへ運びました。
ヨーロッパで当時使われていたケルメス、という染料より人気となり、
スぺインは大きな利益を得たのです。

その後、メキシコは独立運動を開始したため
スペイン政府はお金になるものを自国へ持ち帰ることにしました。
その時にウチワサボテンがカナリア諸島に移植されました。
このカナリア諸島の気候は ウチワサボテンに向いていたようで
コチニール虫がよくつき 優れたコチニール染料を採取できました。
今でも コチニール染料の産地として名を馳せています。

日本へは何番貿易によってもたらされ、
猩々緋の陣羽織などとして残されています。

紅花の赤とは違う 青味を帯びたコチニールの色はとても美しく
華やかです。
藍や茶系、グレー系の多い植物染料の中で
目を惹きテンションをあげてくれます。

ただ 結構高額なのが難点で
全体にコチニールを使うと染料代で
お高い着物になってしまうのが難点です。



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