大島紬  その3. ヒトモト・カタス

雨と風が凄いです。
横浜にも一部避難勧告が出たようですが
既に避難されている方々が一日も早くいつもの生活に戻れますように。

大島セミナー、12日も15日も満席になりました。
ありがとうございます。
当日の様子は 録画しますので 後日アップいたしますね。

さて 昨日はマルキのことを書きましたので 
今日は ヒトモトとカタス、についてです。

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大島紬は明治34年に今の本場奄美大島紬共同組合の前身となる
鹿児島県大島紬協同組合が設立され
当時からあった粗悪品や模造品を厳しく審査して
品質保持と技術の向上を目指しました。
当時は審査や証票の管理も厳格で
審査不合格品については裁断して織人に戻すという
厳しい処分がありました。
B反、というものはなかったのです。
そのような厳しい品質管理の下に
大島紬は進化してきたのです。

マルキは簡単に言うと経糸の中の絣糸の割合のことでしたが
カタス(片ス)ヒトモト(一元)は
緯糸の中の絣糸の配列です。

大島の柄を構成している絣の1つ1つを良く見ますと
ほとんどの絣はT字型になっていますが
これがカタスです。
それに対して 絣が#の形になっているものがあり
これをヒトモトと呼びます。
バブルの前まではヒトモトが当たり前にあったのですが
手間隙よりも効率を求めてカタスを織り続けたため
ヒトモトを織れる技術者を育てることをしませんでした。
そのためヒトモトを織れるのは
ごく一部の高齢者の織子さんだけになってしまっています。

ヒトモトがどのように手間隙が掛かるのかと言いますと
カタスの緯糸の絣糸は
絣糸・地糸・地糸・地糸・絣糸・地糸・地糸・地糸・・・と
絣糸と地糸が3対1の並びです。
それに対して ヒトモトは
絣糸・絣糸・地糸・地糸・絣糸・絣糸・地糸・地糸・・・と
2対2で並んでいます。

絣の量が多いほど
緻密で複雑な柄を織ることが出来るわけですが
その分 絣合わせも難しく
手間隙はカタスの3倍とも言われています。

9マルキの大島よりも
7マルキのヒトモトの方が絣の量が多く柄も細かく美しいので
じざいやでは ヒトモトを多く扱っています。
9マルキのヒトモトも数は少ないのですがあります。
 
お母様から頂いた大島だとヒトモトかもしれませんね。
お手持ちの大島がありましたら
絣の形を拡大鏡で見てみるのも面白いです。
絣1つでもいろいろな世界が見えてきます。

ヒトモトの絣いろいろ。

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