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吉野織のお話。

吉野間道についてご質問がありましたので。
帯でも着物でも人気のある織り方の1つです。
格調高く、趣きのある織り方で糸や色によって
紬やお召、小紋などに幅広く使える帯になります。
 
織りの組織としては
沖縄に伝わる 浮織りの一種、道沌(ロートン)織りと同じです。
地の部分は平織りで
真田紐のような組織を縞や格子に織り込んだものです。
平織りに交わる、真田織りの部分が厚みのある畝状となり、
立体感を持った面白い織物です。
 (同じ組織でも 茶人、日野大納言輝資が愛蔵した名物茶入
 「日野肩衝」の仕覆は日野間道とも呼ばれます。
  日野間道は真田織が横段で 吉野間道は縦縞です)

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間道、とは縞のことですから
吉野間道といえば 吉野の縞、
吉野格子、といえば 吉野の格子です。
では この吉野、というのは 吉野桜、などの地名の吉野ではなく
江戸時代に名を馳せた傾城、吉野太夫の名からきています。
吉野太夫が愛用していた打掛からの命名とされています。
その話は
江戸初期、島原で盛名をはせた吉野太夫は
容姿端麗、教養、遊芸に、並びなき傾城、とたたえられて
京の富豪、灰屋紹益は、吉野と一緒に暮らすようになります。
しかし、紹益の父は、吉野が、あまりに有名なので、
世の聞こえを憚り、息子を勘当してしいます。
ところが、ある日、この父親が、外出先で俄雨に合い、
とある寂れた家の軒先に佇んでいると、
美しい女性が、「お茶でもどうぞ」と誘います。
そこで、言われるままに上がってみると、侘び住まいながら、
きちんとしており、心のこもったもてなし振りに大いに感心しました。
そこで、「いったい彼女は、どう言う人か」と、尋ねたところ、
「彼女こそ、かっての吉野太夫だ」と判り、
息子の勘当を解き夫婦にした、というものです。

吉野格子1

色や縞、格子の幅で
雰囲気がガラリと変るのも この織りの魅力の1つです。  
ポップな色で市松風にしたり
同系色でシックに織り上げたり。
着物好きなら1本あると嬉しいですね。

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