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士乎路紬~結城紬と大島紬のハイブリッドを目指して~

士乎路・・・あまり聞きなれない言葉かもしれません。
能登半島を指す古い言葉だそうです。

士乎路紬は 水島繁三郎の手によって生み出されました。
大正2年に生まれ 東京工業大を卒業した水島氏は 
日本レーヨン(現ユニチカ)工場長、
埼玉や山形の工業試験場長、東工大講師などを歴任しました。
在職中より 各地の織物産地の視察を続けて
糸の製造法や染色、製織について研究を重ね
自らが 日本で一番美しく最も着やすい織物を織りたいと考えました。
伝統織物の良さに高分子工学の専門知識を生かし、
糸に手引き真綿の結城紬糸、
染色には“烏の濡羽色”と云われる泥染大島紬の光沢、
この二つの紬の特徴を持つ、士乎路紬を完成させました。

本場結城紬の手引き糸は 撚りをかけないので
毛羽と節があり、それを結城では糊で固めて地機で織ります。
士乎路紬では 節を手で1つ1つカットして高機で織り上げます。

士乎路紬の特徴は生地に弾力性があるので感触が良くしわにならず、
やさしく体を包み込み着る人の心を和やかにします。
本場結城紬を何度も洗い張りした柔らかさを
着はじめから持ち合わせ、しなやかで肌によくなじみ、
洗えば洗うほど感触はさらによくなり、
光沢もますます冴えを見せてくるという、
大きな魅力をもつ手づくりの紬です。

細くしなやかな糸は本場結城紬なら120~160亀甲に使われる
極上の糸です。
絣はもちろん、手括りによる絣です。
それを草木染にして(一部化学染料もあります)
ふっくらと高機で織り上げます。

軽さと着心地の良さは本場結城紬に引けを取らず
お値段は半額以下です。
真綿でありながら艶やかで
生産数が少ないので 市場では見かけることが少ないですが
一度着ると虜となる隠れた名品の紬です。





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