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着物界の二極化。

今、着物業界では二極化が進んでいます。
着物だけではないですね、
ユ〇クロとブランド服、B級グルメと高級レストラン、
世の中全体の流れのようです。

様々なSNSやインスタグラム、ネットの影響もあり
着物の裾野人口はとても増えていることは実感できます。
コロナ自粛で一時は激減していましたが
着物姿の方は確実に多くなっています。
街を歩いていても 電車に乗っていても着物の方をお見掛けします。
そんな中で 着物の楽しみ方が多様化していくのは当然のことでしょう。

私はきもの屋ですから 他の業界のことは良く判りません。
しかし 着物の二極化の実体は
値段の安い、高い、だけではなく
着物に対する嗜好、ベクトルの違いを感じています。

一方にあるのは 若い方を中心としている
ファッションアイテムとしての着物。 
見た目の印象が重視されて「可愛い」や「カッコいい」という
キーワードに当てはまれば
着物が作られた過程にはこだわりません。
GパンやTシャツが どこの誰に作られたのか気にならないように
着物自体の物語性を必要としていません。
着る本人が 自分を語るツールとして着物を選んでいる、
そんな楽しみ方です。
古着+手作り、や 反物以外の布から仕立てた着物、
洋装との和洋折衷コーデなど
既成概念にとらわれない自由な発想が持ち味です。
ある意味 進化した着物であり
結ばない帯結びや 帯締め変わりのベルト使いなど、
かつて着物の流行が 役者や花魁から発信されたように
新しい着方もネットで拡散されて1つの型となっていきます。

もう一方としては
着物という布の物語に共鳴して
布に惚れてしまうタイプの方たち。
どんな高級ブランドの服でも 
その服の布地が どこ産の繭を誰が糸にしたか、
どんな染め方、どんな織方をされたかを
語ることが出来るものはありません。
蚕が、綿花が、糸になり布になり、着物になる、という
創り手の積み重なる思いを受け止め、
布が語りかけてくる声に耳を傾けて
それを纏うことに喜びを感じる、という楽しみ方。

しかし 二極化、と言っても
どちらも着物が好きなことには変りありません。
また 同じ方が時と場合によって
着物を、楽しみ方を使い分けてもいます。
例えば 飲み会には洗える綿やポリの着物でも
お友達とちょっと贅沢なランチには
作家ものの着物で出かける、というような。
着物が身近だから 使い分けも出来るのです。

二極化、住み分けとは言いますが
着物業界は もっと広い視野で着物を捉えて 
流動する着物を
一時の和ブーム的な流行に終わらせるのではなく
生活の中に定着したものに
昇華させなくてはいけません。
それには 業界人がもっと着物を身近で楽しいものとして
自分の中に取り入れることから始るのだと思います。

きもの業界の人!
もっと 着物を着て楽しみましょう!!
  

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