金糸銀糸。
今年は 様々な式典が中止、もしくは延期になってしまい
フォーマルな着物や帯の出番が少なくなってしまいました。
この先の、クリスマスやお正月は
華やかな着物姿でも浮かない貴重な?季節です。
式典ではなくても 金銀の華やかな帯を登場させてみましょう。
たまには出してあげないとね・・・
金糸・銀糸と言いましても 金を糸のように細くしても
それは金の針金ですから織り込むことは出来ません。
和紙に漆で金箔を貼り付けて 細く裁断したものを
「箔」と言います。
佐賀錦や唐織に見られるのは この箔です。
近頃は 安くするためにセロファンに銀やアルミを吹き付けて
金箔、プラチナ箔もどきや
その上に様々な色を塗り重ねて色箔を作ったりしています。
本物は本金を使っていますので 光沢が違います。
セロファンで箔をサンドイッチにしたものもあり
これは水に強く
湿気によるヤケが起こり難い特徴があります。
また 本来は裏は和紙の白いままなので
(両面に金を貼ると値段が高くなってしまう)
織り込む時に細心の注意が必要で
下手な織手ですと細く裁断された箔が織の途中で裏返り
白い和紙の面が表に出てしまうことがあります。
機械ではこの繊細な織ができないため
裏返っても白く見えない両面箔になっています。
刺繍などに使われるのは
この箔を極細にして糸に巻きつけたもので これが金糸です。
よく見るとらせん状に金箔が巻きついているのが見えます。
芯になる糸は絹糸の他にレーヨンやナイロンを
使用したものもあります。
金糸銀糸を使ったものは
湿気に注意しないと 酸化によるヤケや変色を起こし
それを直すことは厄介ですので
箪笥の中でも湿気が少ない高い位置に入れたり
防湿シートを敷くなどの対策をしてください。
化学変化を起しやすいものですから
防虫剤や匂い袋、新建材の箪笥から出るガスなどにも
反応することがありますので
それらには近づけないほうが安心です。
せっかくの美しい輝きがいつまでも続くよう
ちょっとした心遣いで着物や帯も喜びます。
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