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着物で季節感を身に着ける

この頃は季節の移り変わりが急激で
いきなり夏から冬になってしまった、という感じですが
着物を着る楽しみの1つに、季節を着る、というものもあります。

自然の中で暮らしていれば
身の回りの自然の変化は季節の移り変わりであり
その季節にふさわしい色調や文様が
そのまま身の回りにあったのですから
感覚的に自然と季節感が身に付いたものです。 
しかし真冬でも袖なしで通用する都会にあっては
季節感は身に付かないのかもしれません。

だけど日の光というものは着物の素材や色調を
季節によって変化させます。
その季節の光の中にあってこそ
一番相応しく、美しく見えるものがあります。
それを頭の隅に入れておくと季節のコーディネイトがしやすくなります。

よく言われるのが 春大島に秋結城。
大島紬の生糸を使った少し冷たい光沢が涼感を呼ぶために
暖かくなる春に。
結城紬に代表される真綿のほっこりとした質感は
温かみを覚えさせるので秋からの季節に相応しい、というものです。
だけど秋草模様の大島紬だって、桜の絣の結城紬だってありますから
その季節しか着てはいけない、というものではなく
あくまでも質感による季節感を言い伝えてるものです。

紬に限らず柔らか物でも春は綸子、
秋には縮緬がふさわしく感じられます。
帯揚げの生地もそうですね。
小物と言えば 帯締めの季節感もあります。
レース組の透ける帯締めばかりが夏用ではありません。
夏には細めで暑苦しくない色目のものがよく
秋に向ってコクのある色目で太めのもの、
重量感のある丸組みなどを使うようにします。

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草花の柄ならばその花が咲く季節が判っていれば問題ありません。
薔薇などは春秋2回咲くのでお得?ですが
藤や紫陽花、菖蒲、百合などは咲く時期の短いものです。
概して冬の花(椿や梅)は着用時期が長いものが多いです。
しかしこの頃は 洋種の紫陽花や百合などは
本来の在来種が咲く季節外でも咲いていますし
花屋さんには 季節に関係なく様々な花が扱われています。
あまり目くじら立てても粋じゃないですが
花の咲く時期を知ることも着物の楽しみが広がります。
ある程度 時期が把握できてくれば
確信犯で 桜をコスモス(秋桜)と言い張ったり
菊をダリア!と見立てるのもありです。
桜の着物に菊の帯を合わせて
「春秋柄!」と言い切ったお客様を存じています。

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生き物系ですと犬猫に季節感は感じませんが
鴬は梅の咲く2月(でも横浜の山では8月まで鳴いてますけど)
燕は5月。千鳥は初夏から夏。
渡り鳥には時期がありますし
雀でも福良雀は 冬の雀です。
金魚だって一年中生きてはいるんだからいつでもオッケーの気もしますが
水の涼やかさのイメージから夏の柄です。


普段から自然に接して季節に対する感覚を養っておくことが
着物のコーディネイトを楽しむことに繋がるのです。

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