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銘仙。

きもの展で一番のお気に入りは「帷子」ですが
小袖は 今の生活には着られないし。

銘仙もいろいろ展示してありました。
着物が生活着として元気だった時代。
文明開化で 人々の暮らしも豊かになり
日本の庶民が 初めて西洋文化に触れることが出来、
着物にもその新しいモチーフや色彩を取り入れて
身にまとう楽しさを謳歌していた時代。
そんな頃の着物たちは 本当に楽しげでのびのびしています。

地味な木綿ばかりだった庶民が
絹を着るようになり 
その美しい色艶と風合いに魅了され
新しいものがどんどん作られたころ。
そして 多くの人たちは まだ着物生活で
着物こそが 流行の発信源だったころ。
その 大正~昭和の初めに一世を風靡したのが銘仙です。

元々は各地で織られていた自家用紬だったものが
大正になって 様々な模様絣を織れるようになり
色柄の美しさで大流行を生み、
各地で真似たものが織られるようになりました。
流行 → 量産増加 → 価格の競争 → 粗悪品の流通
そして 銘仙=粗悪品 というレッテルが貼られるようになると
急速に途絶えてしまったのです。

戦後になると生活の中の着物は段々と陰をひそめ
ガチャマン時代と呼ばれる 着物全盛期には
着るための着物、より 持っているための着物になり
着て楽しい、よりも 見て美しいものへとなっていきました。
今の着物を見回しても
きれいだな、というのは多くても
着たら楽しいだろうな、といのはとても少ないのです。
昔の銘仙を見ていると
今あったら 着たいなぁ、というものが沢山あります。
愛されて いっぱい着てもらって
それが 着物の本望でしょう。

着てこそ、きもの。
きものは着るもの、です。
きもの、着ましょう。

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