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37.お姫様気分と介護モードの狭間で車椅子ユーザーの美容問題あるある

車椅子での美容院はとても大変。なかなかバリアフリーのお店はない。

先ずは入り口に段差があり、店内では鏡の前に設置された固定式の椅子やシャンプー用の椅子に乗り移るのは一苦労だ。自力で移乗できなければ、イケメン美容師さん達にお姫様抱っこで抱え上げられ、移乗のお手伝いをしてもらうことになる。

想像したら、「きゃー!」
恥ずかしくて顔から火が出そう!

あと…年早ければお姫様気分も味わえたろうが、この歳ではそんな気分どころか介護モード全開だ。今は行きつけの美容師さんのご好意で、自宅でカットして頂いているので、そんな心配はせず助かっている。

入院をしていたときは大変だった。7ヶ月間髪は伸び放題。抗がん剤治療後に生えてきた髪は妙なクセ毛で、とんでもない方向へ髪がはねる。寝癖なんてもんじゃない。一応、朝には寝癖を直すが、数時間後には寝起き?というくらいに苦労の跡形もない有り様。

そこで外出して美容院へ行こうと思ったが、バリアフリーの美容院なんてそうそうない。それに車椅子からの移乗もリハビリ中でまだまだ下手くそ。付き添いがいなければ外出も難しかった。

看護師さんに相談すると出張カットなるものを紹介してくれた。何だか嫌〜な予感はしたが、もうこの寝癖頭にイライラしていたので、誰でもいいからカットして〜となった。

当日、50代くらいの女性が見えた。肩甲骨辺りまである白髪混じりの髪をハーフアップにしている。美容師さんにしては、あまりにも飾り気がなく地味〜な感じだ。

写真を見ながら長さなどを伝えてカットが始まった。出来上がった頭を見てビックリ!!ヘルメットを被った感じ、いやいやお釜を被った感じとでも言えばいいのだろうか。

眉毛がしっかり見えるパッツン前髪に、ザックリ長さを揃えただけの髪型が出来上がっていた。

「ぎゃー!嘘でしょ!」
「写真見せたよね⁉︎ ねぇ!」
「あなた、美容師さんですよね?」

と心の声で叫んだ。
ヘルメットでもお釜でもいいから被りたい!

嫌〜な予感は的中だ。
5,000円を支払い気分はだだ下がり。苦笑いでお礼を言い病室へ戻った。患者友達には「サッパリしたね!」と言われたがそれ以外言いようがなかったのだろう。

退院後、この髪型を直すまでに3ヶ月は掛かったと思う。それから妙〜なクセ毛が生え変わるのには一年ほど掛かった。

最近は髪に白いものを発見するときがある。そろそろバリアフリーの美容院を探しておかなければ。失敗しないためにも。


38話目へ続く…


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