しゅっぱつのあさに
やまやまは あきふくに すっかりきがえ
あたまのてっぺんから つまさきまで
あか きみどり きいろ ちゃいろ むらさき
あきいろの グラデーションで そまります
ひとつひとつの そのいろに
あなたと すごした
あまい やさしい
せつない さみしい
いとおしい おもいでを
しみこませています
キオクしています
しゅっぱつのあさ
やまやまの 木々たちは
あなたにふれた あまい きおくに
こころ ふるわせ
はっぱを きらきら そよがせて
いろとりどりの その はっぱを
あなたにむけて
とばします
やまやまの いしころたちは
あなたと たわむれた くすぐったいじかんを
ぎゅっと だきしめて
あなたに 熱を
おくります
やまやまの せせらぎたちは
あなたと あそんだ
なつの 思い出を その歌に
おりこんで
きょうは いつもより しんとした
きもちで ながれます
それらは すべて
大地を つたわり
川のながれに つつまれて
風のなかに くるまれて
いつも あなたのところへ
とどいています
とおくとおく はなれても
あなたのところへ
とどいています
しゅっぱつのあさ
きょうも たいようは
うつくしい オレンジのひかりを
ふりまき のぼりました。
この詩は ある秋、旅立った友に おくったもの。
原生林の帰り道、ぶーんと服に飛んできた子。
ハートを背負ったカメムシちゃん🥺♡