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いつくしむとき〜インド & ヨガ〜

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インドに滞在していたころのエッセイと、ヨガのお話。 「じゆうな木」のヨガ教室はこちら: https://jiyunaki.blogspot.com/p/blog-page.html
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記事一覧

土のお手当とヨガ〜大地の再生vol.2〜

「土に、いいも悪いもありません」 これは自然環境の根本的な再生のために活動されている、NPO法人地球守代表の高田さんの言葉です。 先月、大福院さんでの大地の再生ワークショップに参加しました。 風の草刈りをし、水はけが悪くてぬかるんだ、ずっと放置されたままの畑に水脈をとおしていきました。 水も空気も滞ってしまって動かない場所はとくにぬかるみ、グライ層(酸欠状態の土)と呼ばれる土(有機ガスが発生している)になっていました。色もにおいも少しぎょっとしてしまう、そんな状態の土

“ミギ”、しあわせなクジラ、そしてヨガ

神経解剖学者として脳の研究をされているジル先生が、自身が脳卒中を体験するなかで気づいたこと。 “私の魂はクジラのように自由にとび しずかな幸福の海を すべるように進みました 天国を、わたしは天国をみつけたのです…” バンコクで働いていたころのことです。とにかく忙しくて毎日仕事に追われていたころ、友人に勧められてわたしは初めてヨガ教室に参加しました。 仕事終わりの疲れはてた体を引きずって、私はその日の最後のクラスに、なんとか滑り込みました。ヨガ教室では最後に「シャバーサナ

“むいしぜん”〜タゴールの歌と夢見る小学校〜

“ この世界で  わたしを愛するものたちは  わたしをつかまえて おこうとする    かたい縄で しばって。    けれど あなたの愛はずっとおおきくて    あなたのやりかたこそが あたらしい    しばらず すがたを見せず あなたのしもべを放っている。  みなは わたしが忘れないようにと    わたしをひとりにさせはしない。  日に日に 時はすぎていくが    あなたに あえない。 あなたを呼んでも呼ばなくても    喜び

おひさま〜インド(自然のおくすり)〜

あさひを あびる もうなんども なんども  かぞえきれないくらい  みとれた あさひ みあきることのない  だいすきな おひさま。 朝日をたっぷり浴びた日は、その日いちにち、ほんとうに気分がいい☺️ 朝日をみながら、よく思い起こすひとがいます。 インドのヨーガ自然療法センターで出逢った、名前も知らないふたりのこと。 わたしはそのころ、イギリス人の友人エムと一緒に、ナジック市にあるヨーガ自然療法センターでインターンをしていました。毎朝、日の出前には起き、センタ

サンタの手紙と1ルピー

“いのちの本質は愛です。… 愛に囲まれているとき、いのちはより完全にそれ自身になります。” (風景の天使のことば、ドロシー・マクリーン『天使の歌が聞こえる』(日本教文社より) クリスマスの時期が近づくと、毎年必ず思い出す、ちいさな男の子がいます。 中学生のころ、わたしは黒柳徹子さんの『トットちゃんとトットちゃんたち』という本を読みました。 ユニセフの親善大使としての活動が描かれている赤い表紙の本でした。 とてもやせ細った男の子の写真や未だに世界各地でつづいている紛

ちかくてとおい大地のめぐみ〜earthing〜

なるべく よごれないように。 つちが なるべく つかないように。 「土にはバイキンがいるから、あまりよごれないようにしましょう」 そんな価値観のなかで育ったわたしにとって、ずっと「土」は直接ふれることが少し ためらわれる、身近にあるけど遠い存在でした。 インドにいたころ、ともにヨガを学んだ世界各国の友人たちは、ほとんどが「裸足」で外をあるいていました。身軽で、気もちよさそうな裸足に惹かれつつも、わたしはそれでも足の裏を汚したくなくて、いつも靴下と靴をはいていたのです。

よろこびいろのかえりみち

やまぶき色の イチョウの はっぱ くるくる ひらひら まいおちた かわいい かたち! すてきな きいろ! はっぱが おちる ただ それだけで たのしくて うれしくて こころも わくわく くるくる おどるよ 「イチョウさん、もっときて!」 イチョウに向かって 声をかけたら イチョウは パタパタ 空色の 風をよび さららら るるる やまぶき色が はじけたよ 畑からのかえりみち、おひさまのひかりを さんさん!あびて、やさしい空色の空気のなか イチョウたちが笑っていました。

トゥルーシー「比類なきもの」

「ホーリーバジル(トゥルーシー)が家にあれば、病気も不幸もその家に入ることができない」(インドのことわざ) 夏のおわり、花友さん(花友達)のひとりからいただいた、ホーリーバジルのちいさな苗。すくすく育ち、かわいいお花とすばらしい芳香をはなっています☺️ ホーリーバジルは別名「トゥルーシー」。 インドのことばで「比類なきもの」という意味だそうです。 ホーリーバジルは、インドの伝統医療「アーユルヴェーダ」のなかでも 3大ハーブのひとつとして6,000年以上にわたり愛用され

まっすぐでなくてもいいんだね

ある朝の ヨガ教室 あつまったみんなは あまりからだがうごかない そんなひとが ほとんどだった いすに すわって 参加したひと ほとんど ずっと ねたままのひと おなかが いたくて うつぶせになれないひと 左がこわばり 右に少し かたむいているひと やわらかな陽光が 窓の向こうから さしこんで 目を閉じた みんなの輪郭が 金色にふちどられる その瞬間 鮮やかに立ち現れる 森の景色 わたしはまるで 朝の森を あるいているような そんな ふしぎな 心地になって 「まっすぐでなく

仏さまと宝もの

呼吸するだけで きもちのいい朝 わたしは 1秒でもながく 外にいたいきもちをなだめ 髪を結び 広間のなかを あるいていきます ざわざわ がやがや はじまりは 大体いつも ざわざわ うねうね 空気がとても さわがしい そのとびきり うつくしいあさ 広間のなかも とびきり ざわざわ! その不協和音の うねりのなかに ひきこまれそうになる じぶんを見つけ しのびよる 憂鬱な感情を 確認しながら 祈るようなきもちで そっと  窓ごしの 緑たちに 意識をむけます 葉っぱたちは 

マーブルマン

わたしがその不思議な「ちから」をもつ男のことを知ったのは、インドのアシュラムに滞在していたころのことでした。 そのアシュラムがあるちいさな村は、ガイドブック(たとえば『地球の歩き方』など)にも載っていない、とても辺鄙な場所にありました。そこは探さないとたどり着けない、そんな場所。見渡す限り、田畑が広がり、その奥には山々の尾根がつづきます。店はもちろん、1軒もありません。1日の大半は電気も通らず、夜には星々が空を埋め尽くします。のんびりと水牛が荷をひきながら歩き、その後ろには

ハリオム!〜聖地バラナシ〜

名前さえ知らないひと。それでも、そのひとと交わしたたったひと言を、私は今でも静かな感動とともに鮮やかに思い起こします。  そのころ、私はヨガセラピーの勉強のためにインドのナジックという町に滞在していました。無事に試験とセラピーセンターでのインターンを終え、私はナジックからバラナシへと向かいました。「聖地」としてインドの人々を惹きつけてやまないバラナシ。私も一度でいいからこの地を訪れ、ガンジス川をこの目で見てみたかったのです。 「ガンジスは汚い」「不衛生」 「ひとりで行くな

いのちを祝う111本の木

“スンダルさんは、木がだいすきです。もし、スンダルさんに会って、写真を撮らせてくださいと頼んだら、そばの木にさっと腕をまわして、ポーズをとることでしょう。” これはつい最近たまたま図書館で手に取った、素敵な絵本(ほんとうにあったお話)の「あとがき」の出だしです。あとがきでは絵本の主人公、スンダルさん(実在の人物)の紹介をしていました。そしてその下には、とてもやさしい笑顔のスンダルさんが、たくさんの葉っぱたちの間から顔をのぞかせている素敵な写真がかがやいています。 “スンダ