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「くまぎらいのくま子ちゃん」第2話


今日のくま子は、めずらしく早起き。

お日さまの光がまぶしくて、起きちゃったみたいです。

 

「しょうがないから、朝ごはんでも食べよう」

ふわふわのトーストに、はちみつをたっぷり塗って、パクパク食べています。

とってもいい、食べっぷり。

 

くま子は妖精なんだから、食べなくても生きていけるじゃんって?

たしかにそうなんです。

でも、くま子はおいしいものを食べるのが大好き。

だから、しゅみみたいなことなんです。

くま子ははたらかなくても、魔法でお金をつくって、おいしい食べものを人間世界で買えます。

 

「運動でもしようかな」

めずらしく朝早く起きれたくま子は、なんだかいつもと違うことをやりたくなりました。

 

おやおや? 

くま子がなにかを倉庫から取り出しているようです。 

くま子が引っ張り出してきたのは、クマーズブートキャンプと書かれた古びたビデオ。

むかし、妖精界でいっせいをふうびした、エクササイズビデオです。

 

くま子は、クマーズブートキャンプを見ながら、体を必死に動かしはじめました。

映像を見ながら、短い手足を必死に動かしているくま子。

「きつい……もうむりだ……」

ふだんぜんぜん運動をしないくま子には、しんどかったようです。


いっぱい汗をかいたくま子が、次に向かったのはお風呂。

湯船をわかしたあと、お風呂に入りました。

くま子はお風呂でのんびりと湯船につかりながら、考えごとを始めました。


「1匹だと、とっても楽だし、すごい自由だな。」
「それに、、、傷つけられることもないし。」

くま子はいつだって1匹ぼっちです。

くまの見た目をしているけれど、1匹おおかみなのです。


くま子はいつも1匹でいようとします。
他の生き物とも、仲良く話をしようとしません。

そんなくま子の態度を見て、周りの生き物たちもくま子に接しようとしません。


「おいしいお菓子を食べて、1匹で遊んで、のんびり平和に過ごすのが一番。」

くま子から聞こえたひとりごと。

なんだかちょっと、くま子はさみしそうな顔をしています。


くま子はくまの妖精がきらいです。
だから、くまの気配がしたら、相手に気づかれる前に姿をくらまします。
その速さたるや、風のごとしです。
だから、「幻のくま子」と、くま界では言われています。

 

実はくま子は100年ほど前まで、生き物とお話をするのが大好きなくまの妖精でした。
今みたいななまけものじゃなくて、はたらく意欲もいっぱいでした。

でも、いつからか1匹で閉じこもるようになってしまったのです……。

 




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