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【毎週一篇/詩やエッセイをご紹介】自然を求めるあなたへ

こんばんは!自由丁スタッフの髙野です。

7月も後半に差し掛かり、夏休みシーズンが近付いてきていますね。
お出かけの計画を立てている方も多いのでしょうか?^^
私は、昨年に引き続き富士登山をする予定なので、しっかり体力をつけていかないと!と意気込んでいます!
暑い日が続いているので、適度に身体を休めながら、夏を楽しんでいきたいですね♪

さて、本日も「自由丁今朝の落書き」よりおすすめの詩やエッセイをご紹介していきます!

今週の一篇『木漏れ日』

あの人は、森の中へと帰ってゆく。
その理由を聞くこともなく、
ただ私は知っている。

あの人は、独り広い所で夜を明かす。
その理由を知ることもなく、
ただ私はわかっている。

あの人は、人知れず美味いものを食べる。
その理由を誰に言うでもなく、
ただ私もそうしている。

私はここでは到底生きられぬから、
空想し、小さな種を生み、育む。
それは森の中でこそ、為し得ることだ。

私はここではとても居心地が悪いから、
妄想し、小さな種を生み、育む。
それは自分の中でこそ、為し得ることだ。

私はここより、森の中へと歩いていく。
あの人はきっと、この辺りで昨夜過ごしたのだろう。
あの人はきっと、あの辺りで寝そべり空を見上げたのだろう。
あの人はきっと、その辺りで焚き木でもして、釣ってきた魚を焼いたのだろう。

森の住人たちが、鳴いている。
私はそれに合う詩を書き、口ずさむ。
夜が更ける。やがて朝日が昇り、葉から光を含んだ水が滴る。

風が、緩まった手の内から優しく私を撫でる。
掌から温もりが顔を出す。

それを見て森が微笑み、私の背を押す。
私は森の外へとゆっくりと、帰ってゆく。


2024年1月2日の「自由丁今朝の落書き」より

自由丁スタッフからのコメント

今回この一篇を選んだのは、最近、緑豊かな場所に行きたいなぁと思っていたという個人的な理由もあるにはあるのですが、とても大切なことが書かれているなと改めて読み返してみて思ったので、ご紹介してみました。

何かについて悩んだり不安になったりした時、一旦気を紛らわすというのも一つの解決策だと思います。ただ、大切なのは自分の中にちゃんと希望を取り戻し、育むことなのかもしれないなと、読みながら考えていました。

自由に想像を巡らせたり、理想を抱いたりする。それを安心してできる場所の一つが、多くの人にとって自然の中なのかもしれないなぁという気がしています。

人の悩みを受け止めるでも、突き返すでもなく、お構いなしでただそこにある自然。その雄大さに、安心を覚えるのかもしれませんね。

いずれにせよ、この物語のような一篇の中にある森を大切にしたいなぁと思いました。

皆さんはどんなことを感じたでしょうか?
帰りたいときに帰れる、安心できる場所が皆さんにもありますように。

自由丁今朝の落書きについて

自由丁今朝の落書きは、自由丁オーナーであり、詩人・エッセイストの小山将平が日々綴る言葉たちです。

ご紹介する作品は、あなたの気持ちにそっと寄り添ってくれるような詩だったり、思わず一緒に唸ってしまうような日頃の考え事を綴ったエッセイだったり。
内容は様々ですが、何気ない日々の他愛ない時間を愛でるような、ほっと一息つけるような文章が多いです。

数分でお読み頂けるものなので、ちょっとした休憩時間に、待ち合わせの合間に、眠りにつく前に、ぜひ。

▼これまでの作品や最新作はこちらからお読み頂けます!

最後に

こちらの記事では、一週間のうちに書かれた「自由丁今朝の落書き」を、スタッフのコメントと共にご紹介しています。

一緒にあれこれ考えてみたり、ただぼーっと読んでみたり、お気に入りの一篇を探したりして頂けたら嬉しいです!
「こんなことを思った」「この言葉に共感した」などの感想をシェアして頂けたらさらに大喜びです。ぜひフォローもよろしくお願いします^^