『夜と霧』

「生きるための哲学」を読んだとき、この作品について述べられていて興味を持ったのと、ドイツ文学科なら一回くらいは読むべきだと思ったのがきっかけ。借りたのはいいけど、実際に読み始めるまでに時間がかかってしまった。この本に対するイメージとどんなにつらい状況にいても人は希望を捨てない、というようなメッセージが込められているというようなことを聞いていたので感情に訴えてくるような物語だと思ってたからだ。実際は違った。

一人の精神科医である囚人が冷静で客観的な視点から、しかも実体験を含めて収容所の囚人の精神的、心理的分析をするのだ。感情に訴えてくる物語も嫌ではないけど、このように実体験を冷静に述べている作品が特に好き。内容に関して「解説の部分は収容所での様子が書かれていたが、吐き気を催すようなものばかりだった。そして私が一番印象的であったのは、精神的に豊かな人や内面に豊かな世界を持っている人、全てに意味を見出す人は身体的に丈夫だった人たちよりも自我を保てていた、というところ。人はまた、未来やほかのものに希望があると生きようとする、生きる努力をするらしい。

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