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【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】沖縄県石垣市「18番街のブラックホール」
謎の結界に迷いんこで
沖縄県・石垣市の中心部に美崎町という繁華街がある。ここには、スナックや飲食店が建ち並び、週末ともなれば地元の人たちで賑わっているところだ。今から10年以上前のこと、美崎町から歩いて2~3分のところに位置している18番街で不可解な〝事件〟が発生した。
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地元のパイナップル工場でアルバイトをしていた渡部雄人さんが、18番街にある祠の前で小用を足したところ、『神隠し』に遭ってしまったのだという。18番街は、40年くらい前まで街の中心部だったところで、今でも華やかだった頃の面影を残している。
「スナックで呑んでいるときにオシッコがしたくなったので外に出たんです。祠の前でズボンのチャックを開けたところまでは覚えているのですが、気がつくとバンナ公園で寝ていたんです。あの公園まで歩いて行くことは考えられません。車でも15分くらいかかるところなんですから....」(渡部雄人さん)
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40年くらい前から市内で小さな民宿を経営している仲間金星(仮名)さんは、神妙な表情を浮かべながら語る。
「昔から美崎町や18番街には、結界(ブラックホール)があると言われています。この結界は、常に移動していて、吸い込まれてしまうと帰って来られないのです。18番街にある祠の前は、特に危険です。於茂登岳の麓にあるバンナ公園や、観光名所になっている唐人墓で『発見』された人もいますが、それは奇跡的なことです。今までに5~60人は『蒸発』しているのです。そうそう、『ミジョ』(仮名)というスナックのママもいなくなっています....」
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このことを知る人たちは、暗くなってからひとり歩きすることを避けているという。何時、結界に吸い込まれてしまうか解らないからだ。
写真・文◎酒井透(サカイトオル)
東京都生まれ。写真家・近未来探険家。
小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイール(現:コンゴ民主共和国)やパリなどに滞在し、ザイールのポピュラー音楽やサプール(Sapeur)を精力的に取材。帰国後は、写真週刊誌「FOCUS」(新潮社)の専属カメラマンとして5年間活動。1989年に東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(警察庁広域重要指定第117号事件)の犯人である宮崎勤をスクープ写する。
90年代からは、アフロビートの創始者でありアクティビストでもあったナイジェリアのミュージシャン フェラ・クティ(故人)やエッジの効いた人物、ラブドール、廃墟、奇祭、国内外のB級(珍)スポットなど、他の写真家が取り上げないものをテーマとして追い続けている。現在、プログラミング言語のPythonなどを学習中。今後、AI方面にシフトしていくものと考えられる。
著書に「中国B級スポットおもしろ大全」(新潮社)「未来世紀軍艦島」(ミリオン出版)、「軍艦島に行く―日本最後の絶景」(笠倉出版社 )などがある。