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「気づいたら夢中になってたっすね」刺青まみれの盆栽師・濵本祐介

刺青と盆栽──。一見、盆栽とは結びつかない風貌の男。

昨年10月にフランスで行われた盆栽コンペティション「BONSAÏ CULTURE EXPO」に特別ゲストとして招待された濵本祐介は、いま世界が最も注目する盆栽作家の一人。異色の盆栽師がナックルズTVに登場した。

濵本祐介氏。背後のイラストは濵本氏が描いたもの

遊んでると早く時間が過ぎるのと同じ

濵本 人間が80歳とか生きても木の方が長く生きる。だから一代ではやりきれない。僕が持ってる木だと100歳くらい。僕の習ってた親方から譲り受けたもの。やっぱり何代か続いていくんです。

──託されるんですね。継承に継承を重ねて。

濵本 そうですね……カッコよく言えば(笑)。

──いや、カッコいいですよ。

濵本 樹齢何十年とかいう木を管理するのも、実生(みしょう)っていう赤ちゃんの木から育てていくのも勉強になります。

──気が遠くなるような作業ですよね。

濵本 そう思うかもしれませんけど、意外とならないです。遊んでて楽しいときって時間が経つの早いじゃないですか。遅く感じるってことは、それだけ夢中になってないのかな、みたいな。木の成長が早く感じるってことは、その年、それだけ真剣に向き合ってたのかなって。

育てている盆栽の解説もしてくれた

軽トラで迎えに来る親方

濵本 母ちゃんの知り合いの家に植木屋さんが来てて「あんたそこで修行しなさい」って入れさせられたんですけど、一日で帰っちゃって。つまんない、って(笑)。でも、母ちゃんに申し訳ないなって思って、職安で植木屋の仕事を自分で探しに行ったんです。

──職安なんですか?

濵本 職安で「植木 盆栽」って2つやってるところ見つけて。親方は自分の実の父親と同じ年齢の人で、自分のことかわいがってくれた。でも自分もまだ若いから、めんどくさいと途中で帰っちゃう。

──(笑)。

濵本 でも翌日に迎えに来るんですよ。軽トラで(笑)。「仕事するぞ」って。だから辞められなかったっすよね。

好きじゃないことは全くできないという濵本氏。「家事とか全然できない。その代わり仕事で結果を出さないといけないですよね。それが俺のミッションです(笑)」

気づいたら夢中になってた

──独立したきっかけはなんだったんですか?

濵本 29歳のとき、親方に「お前も30歳だろ。もうひとりでやれば? 来年来なくていいから」っていきなり言われて。

──戦力外通告!

濵本 29歳の大晦日に(笑)。30歳から無職ですよ。ヤバいと思って、地図持って木が伸びてる家に片っ端から「植木の手入れします」って自分で作ったチラシを配りました。

──反応はあったんですか?

濵本 ポツポツあって。どこかやったらそのご近所さん、お寺やったらその檀家さんとか、だんだん広がってきて。仕事自体には自信があった。好きだから続けてただけで。結果論ですよね。気づいたら夢中になってたんです。

▼インタビューの様子はナックルズTVで公開中

掲載号:実話ナックルズ2024年4月号

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