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【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】中国・雲南省「昆明動物園」の『ウルトラマンプール』

無断で使用される人気キャラクター


 中国・雲南省昆明市の昆明動物園にある「ウルトラマンプール」が閉鎖されていたことが分かった。毎年、夏になると金魚すくいができることでも知られていたこのプールには、ウルトラマンやウルトラセブンを模した巨大フィギュアが展示されていて、子どもたちにも人気があった。

子供たちで賑わうウルトラマンプール

 初めて同動物園を訪れたとき、衝撃を受けたことがあった。それは、小さな遊園地にあるような遊具ばかりが並べられていたことだ。ミニトレインやメリーゴーランド、コーヒーカップ、お化け屋敷などなど…。動物といえば、トラやクマ、象などが十数頭いるだけ…。どう考えてもアトラクションの方が充実していたのだ。動物を見ている子どもたちは皆無だった。何故こうなっているのかは、良く分からなかった。

現在も営業している昆明動物園
ポパイ?
ディ●ニー?っぽい被り物をしたスタッフ

「昆明動物園にウルトラマンプールがあることは以前から知っていました。カメラに収めたいと思って行ったんですが、もうウルトラマン兄弟はいませんでしたね。プールの手前にはロープが張られていましたよ。中国のパクリ・キャラクターには、『なんだこれ?』というのが多いのですが、あそこにあったウルトラマン・フィギュアは、それなりに精巧に作られていたと思います。処分されてしまうのでしょうか?もうそうだとしたらもったいないことです。買い取りたいですけどねぇ(笑)」(中国B級スポットマニアの男性)

どう見てもウルトラマンだが微妙に違う

 ウルトラマンやドラえもんなどといったパクリ・フィギュアは、中国の動物園や遊園地などに行くと見ることができる。また、同キャラクターのグッズなども普通に販売されている。中国では、「著作権」という観念が気薄なので、このようなことが起きてしまうのだ。

けっこうな大きさ
ガンダムなどの人形も。もちろん無断使用だ

 筆者が昆明動物園に行ったのは10年以上前のことになる。次から次へとパクリキャラを見つけることができるので、1日いても飽きることはなかった。とりわけウルトラマン兄弟は、撮り甲斐があった。パクリキャラを撮っているうちに夕方になってしまったものだ。  中国B級スポットマニアならずとも、ウルトラマン・フィギュアの行方は大変気になるところだろう。もしも昆明に行くことがあったら寄ってみよう。まだいくつかのパクリキャラがいるかも知れない。 

写真・文◎酒井透(サカイトオル)
 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。
 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイール(現:コンゴ民主共和国)やパリなどに滞在し、ザイールのポピュラー音楽やサプール(Sapeur)を精力的に取材。帰国後は、写真週刊誌「FOCUS」(新潮社)の専属カメラマンとして5年間活動。1989年に東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(警察庁広域重要指定第117号事件)の犯人である宮崎勤をスクープ写する。
 90年代からは、アフロビートの創始者でありアクティビストでもあったナイジェリアのミュージシャン フェラ・クティ(故人)やエッジの効いた人物、ラブドール、廃墟、奇祭、国内外のB級(珍)スポットなど、他の写真家が取り上げないものをテーマとして追い続けている。現在、プログラミング言語のPythonなどを学習中。今後、AI方面にシフトしていくものと考えられる。
 著書に「中国B級スポットおもしろ大全」(新潮社)「未来世紀軍艦島」(ミリオン出版)、「軍艦島に行く―日本最後の絶景」(笠倉出版社 )などがある。

https://twitter.com/toru_sakai