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ブームに喝! 定宿のサウナにおっさんの死体があった【ライター根本直樹の裏社会漂流記 その7】

これまで私は主に「社会の裏側」を取材し、記事にすることで糊口をしのいできた。その過程で見てきた、さまざまな「闇の景色」を点描してみたいと思う。前回に引き続き、テーマは「サウナ」だ。前回の記事はこちら↓

安らかな顔で眠る男

東京の城南エリアにある大箱のサウナ&カプセルホテルが今回の舞台だ。

コロナ禍真っ盛りの3年前の冬、私はいかがわしい空気が今も残る歓楽街で一杯やった後、寝床を求めてこの店に入った。サウナは二の次、あくまでヤサ目当てだ。昔から3000円程度で宿泊できるサウナ施設はヤサを失いがちな人間にとって、貴重な避難場所でもある。

ロッカールームで数日着替えていない服を脱ぎ捨て、ペラペラの館内着を羽織った瞬間、ほっと一息つく。風呂に入るのは面倒だが、せっかくサウナに来たのだから入浴しないのももったいない。深夜1時頃、私は重い足を引きずって風呂場へ向かった。だだっ広い浴場を見渡すと、客は私ともう1人だけ。大風呂に顎のあたりまで浸かり、足を伸ばして気持ちよさそうに入浴中の50絡みの男。私も体を流すと、男から数メートル離れたあたりに飛び込んだ。
 
「あうぅぅぅ」

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