日々是暴食★トラウマめし【第23食】高野山の精進ラーメンとごまとうふ
11月のとある日、和歌山県の高野山奥之院へ行ってきた。以前から行きたい場所だったのだが今回は完全な仕事。しかも超弾丸。
阪神日本一の余韻も冷めやらぬ早朝４時に都内を車で出発（ひとり）。休憩一回で大阪まで向かった。ちなみにこの日は渋滞もしておらず６時間を切るなかなか良いタイムであった。
大阪市内で友人をピックし一路高野山へ向かう。同行二人、あれこれ昔話を語りながら２時間ほどで高野山へ到着した。へー、思ったより観光地なんだ。平日で小雨が降るバッドコンディションながらツアー客や外国人観光客がたくさんいた。
今回の目的は奥之院に眠っているジャニーさん、メリーさんのお墓へお参りすること。ジャニーズの取材をしていることを墓前に報告したいと思った、というのもあるが当然興味本位がでかい。
中の橋から中に入り、ちょっと歩いた右手の方に喜多川家、藤島家のお墓はあった。探せばすぐにわかる。死後に世間を騒がしていることをご両人はどう思っているのだろうか。合掌。
こちらの記事は『実話ナックルズウルトラVol.29』に掲載しているのでぜひ読んでほしい。
さて、取材は５分で終わった。車でここへやってくるまで８時間。このまま帰るのはあまりに惜しい。高野山奥之院は日本最強のパワースポットと呼ばれている聖地だ。真言宗の開祖、弘法大師空海が1200年前に入定（にゅうじょう）して以来、永遠の瞑想に入ったという。マジかよ、そりゃ会いに行かないと。
空海さんがいらっしゃる御廟へ続く参道の脇には、戦国武将をはじめ日本史ビッグネームの墓がズラッと並んでいる。織田信長、明智光秀、石田三成、武田信玄、豊臣家、徳川家とオールスターメンバーだ。信長の墓が意外と奥まったところに小さく安置されているのが意外だった。
その数およそ20万基。とても短時間で見切れる数ではない。ザザザっと有名どころをチェックしたが、これは死ぬ前にもう一度来てじっくりとまわってみなければ。
御廟橋を渡るとそこは霊域。撮影禁止なのでカメラをしまい、弘法大師に「長生きできるよう」お願いしてきた。取材のついでに寄っただけなのに虫が良すぎるだろうか？ お願いします！
さて、急いでいたので朝から何も食べていない。せっかくだから何か食っていくべきだろう。高野山周辺にはたくさんの食堂やレストランがあるのだが、大体15時くらいで閉まるようだった。これはギリギリ。何軒かはもう準備中となっていたなか、滑り込みで『角濱ごまとうふ総本舗』さんに併設している飲食スペースで食事することができた。
日々罪深いことしかしていない煩悩多き男である。せめて精進料理でもいただいて心を穏やかにしたい。では、ごまとうふとお蕎麦でもと思ったらラーメンがあるじゃないか。むむ…ラーメン食いたい。説明書きには動物性の油や小麦は使用しない精進メニューだと書かれてある。それならば良いだろう、塩味を一丁。
米粉で作られたという麺は噛みごたえがありモチモチ。豆腐の原液を使用したというスープは油を使っていないとは思えぬ濃厚さ。これは弘法大師にけしからんと怒られそうなほどにモダンなラーメンだ。精進メニューにしては美味すぎるのではないか？ 中に入っているやや硬めの豆腐の食感がよく、梅干しの酸味で味変を楽しむ。
スープまで飲み干しても罪悪感のない一杯でスルッと食べ終わってしまった。まるで般若心経でいうところの〝空（くう）〟のようである。今私が食べたラーメンは「無」のようであるが、様々に変化しながらしっかりと存在はある。色即是空空即是色。全く腹がいっぱいにならないので喫茶店で抹茶団子もいただき高野山をあとにした。
大阪で友人を降ろし東京へ向かったが三重あたりで大雨となった。運転していて前が見えないほどの大雨。おまけに咳と鼻水がひどく体調も悪い。おかしい、高野山でしっかりとお参りをしたはずなのに。煩悩を捨てきれぬ、だらけた姿に空海さんがお怒りになられたのか？ 事故らないように気をつけながら、何とか夜12時前に自宅に着いた。
高野山の滞在時間は約２時間。幻のような１日だった。
＜了＞
【写真・文】バーガー菊池
岩手県出身。花巻東高校卒。 実話ナックルズ編集部在籍の編集者。不良からエロまで何でもやります精神の何でも屋。注射を打ちながら毎晩暴飲暴食を繰り返すハゲ巨漢。