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酒井透

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(さかい・とおる) 東京都生まれ。写真家・近未来探険家。 小学校高学年の頃より趣味として始めた鉄道写真をきっかけとして、カメラと写真の世界にのめり込む。大学卒業後は、ザイールやパ…
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#風葬墓

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】沖縄県石垣島の『川平集落の風葬墓』

 セルリアンブルーに輝く海。咲き乱れるホウオウボクやメヒルギの花。日頃から都会で暮らしている人たちにとって石垣島は憧れになっている土地のひとつだ。  せわしない日常生活から離れ、この島に渡って来た観光客は、観光スポットを回り郷土料理に舌鼓を打つ。しかし、風葬墓を見に行くようなことはない。  石垣島の川平集落にある風葬墓には、7柱の頭骨が安置されている。今から15年くらい前、福岡県に住んでいる男性がこの風葬墓で奇妙な体験をしている。 「石垣島には、珍しい蝶の採集に行きまし

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】沖縄県石垣島の『〝改葬〟された風葬墓』

突如奇妙なコンクリート墓が出現  今から20年以上前のことになる。八重山諸島の中心に位置している石垣島で世にも奇妙な『事件』が起こった。島の北部にある風葬墓が〝改葬〟されてしまったのだ。  『風葬』というのは、死者の遺体を人里離れたところにある洞窟や岩陰などに安置して、白骨化させる葬法だ。明治に入ると法律で禁止されたが、沖縄や奄美諸島の島々では数十年前まで行われていた。石垣島には、数多くの風葬墓があり、かなりの数の人骨が安置されている。  風葬墓を〝改葬〟したのは、沖縄

【写真家・近未来探険家 酒井透のニッポン秘境探訪】鹿児島県徳之島の加万答(カマントウ)洞穴墓

亡骸を洞窟に安置し自然に還す  森の中を奥深く進んだところにある洞穴の中には、無数の頭蓋骨が並べられていた。頭蓋骨の両目の部分にはポッカリと穴が開き、下顎は外れている。洞穴には、これらの頭蓋骨から発せられていると思われるカルシウム臭とカビ臭い匂いが充満していた。  奄美諸島や沖縄諸島など琉球諸島に属する島々には、人間の頭蓋骨が安置されている洞窟や洞穴が数多く残されている。遠い昔、島々で暮らしている人たちは、とても貧しかった。墓を造ることができなかった場合、その亡骸は、洞窟