「日本人の7割はヤンキーとファンシーが好き」……歌舞伎町の人生解毒波止場【鈴木ユーリ「ニュートーキョー百景」】#9
終電も終わった午前1時、歌舞伎町を歩く。
この時間になると、不良か古株のキャッチか買春常習者以外、街には若者しかいない。旧コマ劇前広場では今日も元気に散らかる不健康不良少年少女たち。地面にはストロー付きの茶割りやほろよいの空き缶、蝉の抜け殻のような空のサイレース。アパホテルを過ぎ、花道通りをこえると、ラブホからひとり出てくるフリルのついたワンピース。ピンクのカートを引きずりながら足早に、 MCMのリュックにくくりつけた2匹のマイメロが、右へ左へせわしなく揺れている。あの先に