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鈴木ユーリ

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(すずき・ゆーり) ライター。『実話ナックルズ』にて連載『ゲトーの国からこんにちは』など X@yuri_suzuKii
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#ドンキホーテ

【インタビュー】フッドリッチトーキョーRAKO「安藤組“餓狼の血”を継ぐ男」の半生(前編)

祖父は「安藤昇の言うことを聞かなかった唯一の男」  まだ残暑がただよう秋の日のことだった。 「来たか」  渋谷の鰻屋の門をくぐると、その人はすでに待っていた。伝説の元ヤクザであり、異色の映画スター。歳は召していたが、目をまともに見れないほどのオーラがあった。 「楽にしていいぞ。で、今は何をやってるんだ」 「パクられて出てきて、今は抗争を繰り返しています。××組と揉めてます。○○組とはもっと揉めてます。自分は、今流行ってる振り込め詐欺とか許せなくて、薬をイジってる不良も

「日本人の7割はヤンキーとファンシーが好き」……歌舞伎町の人生解毒波止場【鈴木ユーリ「ニュートーキョー百景」】#9

終電も終わった午前1時、歌舞伎町を歩く。 この時間になると、不良か古株のキャッチか買春常習者以外、街には若者しかいない。旧コマ劇前広場では今日も元気に散らかる不健康不良少年少女たち。地面にはストロー付きの茶割りやほろよいの空き缶、蝉の抜け殻のような空のサイレース。アパホテルを過ぎ、花道通りをこえると、ラブホからひとり出てくるフリルのついたワンピース。ピンクのカートを引きずりながら足早に、 MCMのリュックにくくりつけた2匹のマイメロが、右へ左へせわしなく揺れている。あの先に