【ツイステシリーズ】アズール元ネタ解説≪海の魔女編≫
こんにちは、Twitterでタイプ論考察&ディズニー研究をしております遊々自適です。
今回はディズニー『ツイステッドワンダーランド』のキャラクターの【元ネタ】について書いていきたいと思います。やや些末かなとも思ったのですが、ディズニーという得意分野にどうしても手が止まらなくなってしまったので書きます。軽く書いてみたので、あまり気構えずに読んでいただけたらと思います。
第1篇はアズール。彼が一番ネタが多い。他のヴィランとの大きな違いは「持ち歌がある」こと。7人の中でちゃんとした持ち歌があるのは彼とレオナだけで、この曲こそが「アズール」というキャラクターの根幹を作り上げたといっても過言ではありません。曲から直に引用しているセリフだけでも相当数あったので、ピックアップしてみました。
アズールの元ネタ「アースラ」とは
彼が崇拝するグレート・セブンの一人、「海の魔女」とはディズニー映画『リトルマーメイド』(1989)のヴィラン、「アースラ」を指します。
アズールのおしゃべりで語られているように、
・自室に大きな鏡台を置いて身なりに気を遣った
・人気のない洞窟に住んでいたのに化粧をし、髪を整えた(2話)
・魔法の対価として手にした美しい声を巻貝に閉じ込めておいた(+ジェイド)
・とある王子が出会った次の日に結婚式を挙げたがるほど美しかった(+フロイド)
・海中から嵐を巻き起こしたり、陸を歩くだけで人間を魅了した(1話)
という人物像です。
それではそんな「海の魔女アースラ」からどのように"アズール・アーシェングロット"が出来上がったのか、セリフを追って見ていきましょう。
1.挿入歌『哀れな人々』
前述したように、アースラには持ち歌があります。それが'Poor Unfortunate Souls'(邦題:『哀れな人々』)。直訳すると「哀れで不幸せな魂」といったところ。実は日本語歌詞は一度リニューアルされていて、「旧歌詞」と「新歌詞」が存在するのですが、アズールのセリフに関しては新歌詞の方から引用されているため、そちらの歌から直前のセリフも含めて、一つずつ見ていきます。
お入り、かわいい王女様。入り口をふさがないでおくれ。無作法だよ。
⇒「そんなところに立ったままでは無作法ですよ。僕が案内してあげましょうか」(チュートリアルより)
人間になりたい人魚姫アリエルが、アースラの手下のウツボ「フロットサム&ジェットサム」(フロイド&ジェイドの元ネタ)に連れられてアースラの隠れ家にやってきたシーン。彼女の最初のセリフのため、チュートリアルに採用されたのでしょう。
それが生きがいなんだ。あんたのような不幸せな人魚を助けたいの
⇒「僕は人の役に立つことが生きがいなんです。寮長として、精一杯皆さんをバックアップします」(寮服ホーム遷移ログイン直後)
人魚を人間にすることなどできるのか?と問うアリエルに、もちろん可能だと答えるアースラ。人々の願いを叶えることを生業としている様子がアズールに転写されています。
そしてここからは歌詞に入ります。
泣けちゃう
⇒「泣けちゃいますねえ」(攻撃(DUO))
原語だと’pathetic’なこのセリフ。ここから「慈悲深い」というオクタヴィネルのコンセプトが生まれたように思えます。
不幸せな魂
⇒「なんて不幸せな人なんでしょう」(バトル開始時 )
タイトルにもなっている’Unfortunate’(不幸な)はもちろん多用されるキーワードになっています。
人間の男たちは
大嫌いよ オシャベリは
⇒「騒々しいな。おしゃべりは嫌われますよ」(式典服ホームタップ)
声をお代に出すことをそそのかすために、いかにおしゃべりが無意味かを吹聴します。アースラの場合は本気でそう思っているかは不明ですが、その思想はアズールに引き継がれてしまったようです。
→アズールの思想は前時代的な可能性あり
いただきね
⇒「いただきだ」(バトル攻撃)
アリエルが誓約書にサインする直前、勝利を確信したアースラが叫ぶセリフ。英語だと’A boss is on a roll’(ボス(私)は絶好調だよ)と言いながら実際にくるくると回ってみせるのですが、日本語だと「いただき」と訳されています。対価に貪欲なアースラらしいセリフが、アズールの攻撃ボイスとして採用されています。
ベルーガ セブルーガ カスピ海のチョウザメ
⇒「ベルーガ、セブルーガ」/「ここで蝶鮫を」(錬金術GOOD)
アースラが大釜の前でアリエルの声を奪う呪文を唱えるシーン。錬金術にはもってこいの台詞ですね。いろいろ列挙しているように見えますが、実はベルーガもセブルーガもチョウザメという意味。この要素は、ジェイドフロイドのチョウザメの鱗型ピアスに変化しています。
2.登場アイテム①「契約書」
ここまで見てきた『哀れな人々』の中で登場した契約書がこちら。どこかで見覚えがあるのでは?
(アースラがアリエルに提示した契約書)
ご存知の通り、これがアズールのユニーク魔法 「イッツアディール(It’s a deal)」の元ネタです。
‘It’s a deal’とは、「取引成立」「決まりだ」といった意味。この名称も'Now, here's the deal.'(さあ、取引だよ。)とアリエルに迫るセリフからインスパイアされたのでしょう。
3.登場アイテム②「巻貝のペンダント」
続いて登場するのが、アースラがペンダントにしている巻貝。脚のお代として、この巻貝の中にアリエルの声をしまいます。
⇒「海の魔女は自身の魔力を巻貝に込めて利用していたそうです。僕もハットのバッジを改良しようかな」(寮服ホームタップ2)
彼の言葉通り、オクタヴィネルの寮服のハットには巻貝モチーフのバッジがついているのがわかります。
この巻貝はただの入れ物ではなく、アースラが肌身離さず持ち歩く重要な魔法アイテム。
思っていたより良い雰囲気になってしまったアリエルと王子の仲を邪魔するために、自ら美女ヴァネッサに変身し、アリエルの声を使って王子を魅了します。
物語の中では、結婚式でこのペンダントが割られ、声が元の持ち主アリエルに戻ったところでその役割を終えています。
このアイコニックなアイテムは、オクタヴィネルの寮紋にも描かれています。
4.クライマックス
それにしてもあの娘!思ったよりしぶとい。
⇒「しぶといやつめ」(闇堕ち戦攻撃)
アリエルとエリック王子がキスしそうになったのを見て焦るアースラが発した言葉。クライマックス周辺のセリフは闇堕ち戦に用いられています。
離れてよ!生意気な!(ヴァネッサ)
⇒「生意気な!」(闇堕ち戦攻撃)
洗脳した王子との結婚式にこぎつけたヴァネッサ。しかし船上での式を邪魔する海の生き物たちにまとわりつかれ、(アリエルの声で)暴言を吐きまくります。
遅すぎたよ。もう遅すぎたよ。
⇒「もう遅すぎる」(デバフ発動時)
「遅すぎますよ」(闇堕ち戦攻撃)
アリエルと王子がキスしようとしたその瞬間、契約の「3日目の日没」が訪れ、彼女は人魚に戻ってしまいます。勝利を確信し、ウェディングドレスをはち切れさせながら元の姿に戻るアースラが叫んだセリフ。2度言ったからか、デバフと闇堕ち戦の2箇所に採用されています。
でも目的はお前じゃない。狙いはもっと大物さ。
⇒「僕の目的はお前じゃない」(バトル攻撃(DUO))
アリエルに執着しているように見えたアースラですが、本当の目的は彼女の父親であるトリトン王。人魚に戻ったアリエルを海の中に連れ戻し、海の王たるトリトンをおびき寄せます。アズールの目的も目の前の人間などではなく、さらに大きな「獲物」…もしかしたらそれでさえなく、力で巨大に膨れ上がった自分自身なのかもしれません。
「娘を解放して欲しくば代わりに契約違反の罰を受けろ」と取引を迫るアースラ。小さな化け物の姿に変えて、「海の王者」のポジションを奪い取る算段です。
⇒「取引するなら王とです」(魔法史GOOD)
なんだか聞き取りづらいこのセリフは、このシーンから生まれました。
哀れな、ちっぽけな、クズどもよ!!
⇒「哀れなちっぽけなクズどもが!!」(闇堕ち戦開始)
トリトンから矛と王冠を奪い、海の支配者となった彼女ですが戦闘の最中に誤ってかわいい部下フロットサム&ジェットサムを殺めてしまいます。怒りに震えながら巨大化した後、憎きアリエルと王子に向かって叫ぶセリフ。この巨大化が、「自分を大きく見せたい」という欲求の肥大化だとすると、アズールにもその精神は受け継がれたのかもしれません。
あたしがこの海の支配者だよ!
⇒「僕がお前たちの支配者だ!」(闇堕ち戦攻撃)
海とそこに属する者は、全てこの女王にひれ伏すのだ!
⇒「みんなこの僕にひれ伏すんだ!」(闇堕ち戦攻撃)
とうとう本性を剥き出しにしたアースラは、こう叫びながら嵐を巻き起こします。目の前の取引に夢中なようで、彼らの真の目的は取引を通して「支配者になること」なのでしょう。さすが闇堕ち戦には本音が出ていますね。
5.番外編〜アリエル〜
なぜ火は燃えるの?
⇒「火起こし、とは?」(魔法史GOOD)
アリエルが人間の世界へのあこがれを歌う”Part Of Your World”では、’What's a fire and why does it - what's the word? Burn?’(火って何?どうして…燃えるって何なの?)と問いかけます。
アースラが火を知らなかったかどうかは不明ですが、少なくともアズールは海の住人が抱く疑問を持っているようです。
6.まとめ
ここまで歌やアイテム、シーンに分けてアースラのどんな要素がアズールに受け継がれているのかを見てきました。表面的な部分はもちろん、彼らを悪たらしめる「欲望」の部分も共通していることがわかりましたね。
また、今回はボイスだけでしたが、3章を含む元ネタ解説や、他のキャラの解説もぼちぼちやっていこうと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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