見出し画像

NOPE

柳さんと見た!

結構見る前に賛否分かれている意見を見ていたので、どんな感じなんだ……?とビクビクしながら見たんだけど、凄い映画だったなぁ。
話がどう落ち着くのか全然読めなくて面白かった〜

前回パニックホラー繋がりでそれがいる森を見たけど、それがいる森を見た後にNOPEを見ると感動がひとしお感じられた。
みなさんもそれがいる森を見た後にNOPEを見るとよろしい。

それ森の影響でジュープのところの子どもが宇宙人の格好をして厩舎を訪れたシーンなんか「とうとう宇宙人が来た!」と思ったし、すっかりUFOものの映画だと思い込みながらNOPEを見ていたので、馬が続々と吸い込まれていくのもわ〜!これがキャトルミューティレーション!?と思っていたし、形状だっていかにもUFOだなぁ!と興奮しながら見ていた。

まさか生物だったなんて。
“あれ”が生物だとわかった瞬間のそうくるか!?という高揚感は凄まじかった。発想の勝利。一筋縄じゃいかない。
かなりUFO然とした見た目だったGジャンが最後の方でフォルムチェンジをしていたけど、あの姿も芸術品のようで美しかった。あんなものと対峙したら一瞬で死を覚悟してしまうだろうな。
恐ろしく、美しい生き物。

しかも近付くと全ての電気を止めてしまう。
そのために、音楽を鳴らしてGジャンの接近を察知する描写がめちゃくちゃ良かった。Gジャンが近付くとスローモーションになる音楽がどうしようもなく不気味。

思えば生物(動物)は人間の傲慢で管理できる範疇の外にある、というのをずっと描いていた作品だった気がする。
初っ端からコメディシーンと共にチンパンジーが画面に映ったのも面食らった。

昔から志村どうぶつ園のパンくんの瞳の感情の読めなさが怖かった。
犬は昔から人間のパートナーとして生きてきたけど、チンパンジーはそうじゃなくて、それぞれがある程度距離を置いてきた理由があるはずなので、チンパンジーがいつ暴れ出すかヒヤヒヤしながら見ていた。
最終的に大人になるとチンパンジーは攻撃性が増すからという理由でパンくんが外を歩くコーナーは終了していた印象があるんだけど、この作品はそういう大きい猿系の生き物に対する怖さをピンポイントで刺激してきた。

血まみれのスタジオ、手と口が血みどろのチンパンジー、襲われて微動だにしなくなった共演者、猿に見つからないように息を潜めて隠れていたものの目があって……というシーンは緊張でこちらまで息が止まりそうだった。
それにあの突っ立ってた女性ものの靴!あれをジュープテーマパーク内の博物館で飾ってるの、なかなか趣味が最悪だと思う。

チンパンジーが人に襲いかかったのは確かなんだけど、どのくらいの怪我を負わせたのか、はたまた人を殺してしまったのか等具体的な描写は一切されないので想像するしかない。
でもジュープテーマパークの観客席にいた顔を布で覆い隠した「初恋の人」の布が風で捲れた時に顔に過去大怪我をしたことを思わせる容姿だったと明らかになることで、この人はあのドラマの共演者で、あの時チンパンジーに襲われた人で、チンパンジーが執拗に顔を食いちぎったんだなとわかる演出があり、これがまた絶妙。
追記:見直したらこの「初恋の人」、過去ジュープとドラマに出ていた頃の自分の顔が印刷されているトレーナーを着ていてギョッとした。どんな気持ちで着ているんだろう……

ちなみにジュープが昔出ていたコメディドラマ、ドラマシーンはほとんど無いんだけど、白人一家に何故か一人だけぽちゃっとしたアジア系の少年がいて、それが猿と一緒に笑いものになっているという図がかなりグロテスクですね、と思いながら見ていた。

最後まで見てゴーディが凶暴化した理由がイマイチピンときてなかったんだけど、以下のブログで細かく考察されていたのが分かりやすかったので添付しておきます。

ゴーディと「目が合わなかった」もしくは「精神的な繋がりがあった」という理由でジュープは無傷だったのに、大人になったジュープが自分の優位性を誇示するためにGジャンも馬もショーの一環として利用しようとした結果、家族も観客も自分も全て食われてしまう描写は虚しさや悲しさを超えて一種の爽快感すらあった。

Gジャンに吸い込まれた後人々はしばらく意識があるのが嫌すぎる。あの中にいる人たちってどういう原因で死ぬんだろう。窒息死?それとも消化液などで溶かされるのかな……とか考えてしまう。痛くて苦しいだろうことは間違いない。

ここまでジュープ周りとチンパンジーのゴーディの一件の描写が良すぎて主人公サイドに一切触れていなかった。

最高の主人公OJ。最高な男だけど初っ端から父親が何故かコインで右目を撃ち抜かれて死亡するという不憫なシーンから始まる。

聡明で、不器用で、無骨で、静かで、優しい男。ホラーでこういう静かで聡明な男が主人公であることってかなり珍しい。
見ていてストレスがなかった主人公。
あるとすれば最初の撮影に馬を連れてきたシーンくらいだけど、あれはOJが悪いというよりも動物の都合を一切考慮しない撮影サイドに対するフラストレーションなので……

しかしOJは口数が少ないが故に口下手ではあるので、性格が真反対である自分の妹のエメラルドともあまりうまく噛み合わない。でも確かに妹に対する優しさがある。

OJが言葉少なに適当に(見えるけど、OJにとっては適当ではないのかな?)打っている相槌や、サムズアップが好き。
自分が飼育している馬に心底真摯に接していて、静かに声をかけてやったり、撫でてやる所を見ているとホッとするし、いつのまにかOJのことが好きになっている。
最後の方でラッキーに乗ってGジャンを引きつけるシーンなんかは見ていて惚れ惚れしてしまった。広大な土地を上から映して、そこに鮮やかなオレンジ色のパーカーを着たOJが馬で駆ける。美しいシーン。

エメラルドやエンジェルも魅力的。特にエメラルドの服の着こなしは見ていて惚れ惚れした。あの服のチョイス、オシャレで素敵ですよね。本編に一切関係なかったけど、サラッと同性の子と寝た話してたね。
あとエメラルドが電動バイクで逃げるシーンで、ジュースパークに入ってきた瞬間AKIRAのあの一番有名なシーンを模倣したので驚いた。不要不急のAKIRA。

そしてエンジェル。
最初は何!?このいけすかない店員は!?めっちゃ感じ悪くない!?と思っていたんだけど、UFOが好きというだけで兄妹と親しくしてくれて、二人が家から一時避難する時に自宅(広い)に泊めてくれたり、身を挺してUFO(Gジャン)の撮影に協力してくれたりする。
最終的には何でそこまで……お前本当にいい奴だな……としみじみしてしまった。
軽薄そうに見えるけどホルスト監督の指示に律儀に従うし、Gジャンに吸い込まれそうになった際に咄嗟に自分の身体に有刺鉄線を巻き付けて吸い込まれるのを阻止して生き残ったあたり、頭が回る人だよね。

そしてホルスト監督。ずっと生き物が生き物に襲いかかって捕食するシーンを見ていた人。
UFOが生物だと知ってから駆けつけて来た人。
最終的にもっと良い画が撮れるはずとGジャンに捕食されるのもいとわず近づいて行って食われてしまった。
ここからは勘でしかないんだけど、あの捕食される映像をネチネチ見ていた点から察するに、この監督もしかしたら自分よりも強大な生き物に捕食されたい願望があって、その機を伺っていたんじゃないかな。
その絶好のタイミングがあの瞬間だったから自ら食われに行ったんじゃなかろうか。

最後の水素爆発のシーン、見事だった。こうくるか!?という。
最後のシーンで賛否両論分かれているのは知っていたので結構身構えて見ていたんだけど、最後ぼんやりした中ラッキーに乗ったOJのシルエットが浮かび上がってくる終わり方は個人的には嬉しくて大喜びしてしまった。

見終わった後もずっとNOPEのことを考えていた。おもしろかった〜!
おそらく気付けてないことが色々あると思うので、また見直して、追記で感想を書くかも!

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?