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パプリカ

柳さんと見た!
これは……すごい映画だった……いい意味で想像と全然違った。

Twitterの人たちがよくパプリカの作中の映像を繋ぎ合わせて平沢進のパレードと合わせる動画をよく拡散していて、それは見たことがあったので始終こんな感じの支離滅裂な映画なんだと思いこんでいたんだけど、全くそんなことはなかった。

むしろ明るくて前向きな気持ちになれるような快活な映画だった。

人の夢に入ってセラピーを行うためのDCミニという機械を開発したはいいものの、何者かによってそれが盗まれてしまった結果機械が悪用され、夢と現実の境が曖昧になっていく。夢探偵のパプリカは夢の中に入り、果たして機械を悪用しているのは誰なのか探りつつ、めちゃくちゃになりつつある現実を元に戻す道を探す、というようなあらすじ。

パプリカって映像の美しさが凄まじく、脳に直接響いてくるようなテクノポップがかなり良い映画なので、この良さをストーリーのみに絞って文章で伝えようとすると魅力が全然伝わらない気がする。もちろんストーリーも最高なんだけど。
絵も音楽も見てもらった方が圧倒的に早い。言葉をいくら連ねても伝わらない魅力がここにある。

とはいえ開始早々夢みたいにめちゃくちゃな言動と映像の羅列で、ついていけるのか!?この作品に!?振り落とされるかも!と不安な気持ちでいっぱいだったんだけど、結果としてはこのシーンは感じた通り粉川の夢であり、しかも後からこのシーンが繰り返されるたびに感慨深い気持ちになっていくかなり最高な場面だった。

この夢の映像を通じて粉川さんの自意識が徐々に変化していくという描写が美しい。
映画に対して逃げて刑事になったと思っている粉川さんが夢を通じて“あいつ”と向き合うことで自分の過去と今を受け入れられるようになる過程は惚れ惚れする。
大塚明夫の演技も好きだった。

この作品のパレードのシーンや粉川さんの夢のシーンは夢の中であるためかなり混沌としているんだけど、それでも不要なシーンが一切なくて、細部まで絵が美しく、どれも演出として輝いていた。
特に最後の方の現実に夢が侵食して来た時のパレードのシーンは堪らなかった。
あの音楽とめちゃくちゃな映像を見ていると脳みその中がかき乱されるような感覚を受けて、ずっと見ていたくなった。すごいよ。

夢の中では探偵的なポジションであるパプリカがとっても魅力的で、ずっと見ていたくなる。
最初パプリカの声を聞いた時は地に足がついていなようなふわふわとした喋り方をする印象を受けたんだけど、その後千葉さんの声を聞いたら同じ声なのに根が地にしっかり張り巡らされている人、という印象を受けてすごかった。パプリカと千葉さんは別人格であり別人ということが伝わってくる演技の幅たるや……
そして子どもが身体だけ大きくなったような時田くんのことをどうしようもないと思っていながらも、彼を心の底から信頼しているのが伝わってくるような塩梅も良い。
時田くんのことを愛しているの、素敵だよね。

その時田くんの声が古谷徹だったのが本当に良かった。あの方の声って二枚目よりも三枚目のキャラクターの方が合うんじゃないかと常々思っていたので、このキャラクターにはぴったりだった。子どもっぽいような愛らしさもある。

あと外せないのが小山内。
CV山寺宏一のかなりハンサムな男。だけど作中で一番不憫な人かもしれない。
時田の才能と千葉が時田を尊敬していることに嫉妬してどす黒い感情を抱いて、そのステージに近づく為に嫌いな相手に人に自分の身体を売って利用し、結果後戻りできないところまで心がどす黒く染まりきってしまった人。
千葉には全く相手にされず、理事長とともに底が知らない穴に深く落ちて行ってしまった人。
小山内に対しては救えないなぁと思いながらも、手段は悪かったけど、どうにかなりなかったのかな、と思ってしまう引力がある。器用貧乏な人だったのかもしれない。

あとバーテンダー。バーチャル兼夢みたいな空間にバーテンダーがいるなぁとは思ってたんだけど対して重要視していなかったら、あるシーンでものすごいキメ台詞を言ったのでん……?と思って調べた結果、声が今敏監督と原作者の筒井康隆だったので好き放題してる!と思って笑ってしまった。
しかもちゃんと見たらキャラクターが本人の顔に似せてあった。

は〜 この映画は多分何度も見直してしまうだろうな〜パレードのシーンが大好きだから。
ずっと記号的に知っていたこの映画をちゃんと見られて、しかもものすごく面白い作品で嬉しかった。
次は別の今監督の映画が見たいな。

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