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ロジックツリーの意味は知っていても、実践で使いこなすのは難しい・・・

本日は頻出フレームワークのひとつ「ロジックツリー」をスライド交えて、解説を行います。

というのも、、、

最近、まさに自身の仕事でフレームワーク等を結構使っており、まさに試行錯誤(半分沼に入ってますが・・・)、自分が復習する目的も含めて、記事にしようと思ったのが理由です。

私も、もう30代中ばのサラリーマンですので、正直、ロジックツリーという言葉の意味くらいは知っております。というかググっていただければ、「ダイエットをする方法で、まずカロリー消費を増やすのと摂取カロリーを減らすの2つに分けて・・・」なんて例が大抵出てきます。

正直、簡単ですね。

でも、これがビジネス実践となるとそう簡単にはいきません

例えば、新製品を何か作ったとしましょう。販売手法の検討に際し、もっとも効果的なマーケティング施策を(勘と経験に頼らずに)論理的に洗い出すことができますか?

もしかすると、チラシ配布するのが正解なのかもしれません。
いやいや、今時はWebでランディングページを作るのから始めるのが当然かもしれません。
いやいやいや、営業マンが既にいるなら、訪問や紹介営業ができるのですから、追加費用0でやることだって考えられます。

思いつくまま考えていくと、どんどん混沌としていく・・・

「そんなのカンタンです。私なら、5分で論理的にすべての施策をきれいに整理・判断できます」という方は、本記事を読む必要はありませんが、少しでも詰まった方は、今回一緒にロジックツリーその資料デザインを勉強していきましょう。

それでは、はじめましょう。

1|基本のロジックツリー

まずは超基本からやっていきましょう。色々なロジカルシンキングの本にも出てくる「東京から大阪までの移動手段」を洗い出してみます。完成例はこんな感じです。

基本のロジックツリー

まずは大原則ですが、いきなり、新幹線、長距離バス、車、タクシー・・・のように思うがまま列挙していくのは厳禁です。

・時間が掛かる
・抜け漏れがでやすい
・洗い出した粒度が合わないことがある(例:「車」と「タクシー」は一緒のカテゴリーなんじゃないか?等)
等、多くの問題が発生する可能性が高いです。

だからこそ、ロジックツリーで考える(というか論理的思考能力)が重要ですし、役に立ちます。ポイントは以下の2点です。

ポイント①MECE

MECE(ミーシー)とは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、「洩れなくダブりなく」という意味です。元々マッキンゼーの社内用語らしいのですが、今ではビジネスで広く知られる用語になりました。
今回の例では、陸・海・空の分け方は、漏れもダブりもない分け方になっています。もちろん「陸路を使った後で途中から海を使う」等の違った角度からも考えることはできますが、素直に考えてこの例はMECEになっています。

洩れなくダブりなくが基本

ポイント②上位カテゴリーから考える

MECEを実現するには、上位カテゴリーから考えましょう。本例では、車輪のある/なし、エンジン付き/エンジンなしのような分ける方も、もちろん存在しますが、それらは、そもそもまず乗り物であるかどうかがより上位カテゴリーになっています。
ツリーをつくったらより上位のカテゴリーがないか見直してみましょう。

2|システム開発プロジェクトでのリスク対応戦略

2つ目の例からいきなり難しいですね。ちょっとSEエンジニア向けかもしれません。

(※ここでいうリスクの定義を説明しておくと「プロジェクトに影響を与えうる、起こるかどうか今は見えていない事象」とします)

まずは、リスクをプラスとマイナスの2つに分けます。それ以降はリスクを自分が対処する/他者が対処するの2つに分けてみました。こんな感じです。

ポイント③ツリーを対応させる

この分け方の良い点は、プラスとマイナスで完璧に1対1対応で作られていることです。プラスリスクの"強化"(例:法改正の流れに乗るように、開発するシステムの機能を強化する等)は、普通の思考だとあまり思いつかないと思うのですが、「マイナスリスクの"軽減"に対応するものって何?」と考えると、比較的簡単に思いつくことができます。

ポイント④事象に対して感情を混ぜない

ほとんどの人は「リスク」という言葉だけを見れば、"怖い"、"不安”などマイナスのニュアンスを感じるはずです(もちろん、私もそうです)。
ですが、前段でリスクの定義を述べた中には、リスクという言葉に対してマイナスのニュアンスは一切入っておりません。だからこそ、プラスとマイナスのリスクにツリーを分割することができました。

このように言葉や事象に対して感情が混じるのは、誰でも普通です。だからこそ、論理的思考をする時は、一歩引いて事象・言葉だけを純粋に捉えてみましょう。

〈よくある例〉
従業員数の減少=単に社員の数が減ったという事象説明です。高利益体質が目的ならむしろよいニュアンスかもしれませんし、マイナスのニュアンスとは限りません。
顧客満足度1位=あくまで(調査等の指標で)満足度が1番だった事実を指します。満足度が高いと売上が上がっているみたいな論理の飛躍もなければ、満足度が高いのでよい製品/会社であるのようなニュアンスは、この言葉には含まれていません。

一応、種明かし・・・

きちんと種明かしをしておきますが、実はこのリスク対応戦略の一覧は、PMBOKと呼ばれるプロジェクトマネジメントの専門書、資格試験の参考書に載っています。

ですが、これをロジックツリー形式で整理したのは、おそらく拙記事が初めてだと思います。

普通の資格試験であれば、本用語を丸暗記で、それで全く問題ないのですが、ふと、この大元を作った最初の専門家はどうやって体系を作ったのか気になったのです。

ただの勘と経験と思い付きで、プラスとマイナスで綺麗に5つ対になるでしょうか?私はそうは思いませんし、ほぼ間違いなくロジックツリー等の論理的思考力を使いこなして、この体系を作られたんだろうと私は思うのです。

3|新製品のプロモーション施策の検討

さらに、実践向きのロジックツリーを解説していきます。

昨今は、デジタル・マーケティングが当たり前になりつつあり、Webマーケティングが好きな自分としては嬉しい一方で、プロモーション=Webのような先入観がないでしょうか?

今回、ロジックツリーの力を使い、今一度、自社が検討できるプロモーション施策を偏りなく、洗い出してみましょう。こんな感じです。

そもそもプロモーション施策には、デジタル以外にも、ノンデジタルの施策もあるのですから、最上位はデジタルとノンデジタルがよいでしょう。それ以降はアレンジ次第ですが、マーケティング知識がある方であれば、4Pで分けたり、AIDMA(アイドマ)で分けたりするのもOKかと思います。今回は、対象が特定or個人か、不特定多数かで分けてみました。

ポイント⑤|ロジックツリー×比較項目

実践の現場では、ロジックツリーで分類、検討した後で「ではどのプロモーション施策を実行するとよいのか?」と具体的に検討することが多いでしょう。

そこで、ロジックツリーで分けた枝に分けた後、比較項目列として「広告手法/プロモーション期間/価格」の3つを設けてみました。そのためツリー形式からExcel表形式にして柔軟に書き足したり、入れ替えられるようにしています。

ロジックツリーだけだと、ただの分類分けになってしまうことも多いので、このように比較項目を組み合わせて使うと、一気に普段の資料作成、仕事でも使える資料になりますので、是非一工夫してみてください。

まとめ

さいごの新製品のプロモーション施策検討のロジックツリースライドは、今回オリジナルで考えて作成したものです。ですので、結構甘い点があるのは事実です。

ですが、自分で0から作ったので、どれだけインターネットで検索しようと、これ同じ資料は出てこないでしょう。

ここでロジックツリー最大のポイントをお伝えするなら、検索ではたどり着けない自分で考える思考力の道具として使える点です。使いこなせれば100施策くらい思いつくのも余裕ですし、それらを並列にして、費用対効果を客観的に比較するのもいずれできるようになるはずです。

フレームワークをただ当てはめるだけではなく、自分の思考の道具として使えてこそ、本当に"ビジネスの現場でフレームワークを使って考えている"と言えるのではないでしょうか。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

<本日の内容>星4つ★★★★☆
「資料作成を得意スキルに、職場で一目置かれる」

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