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つま先の淀みに揺れて月の形
罪人を巡り幾重の棚田かな
サーカスや影送らせて秋の月
月下の裸足かの麦畑を踏み歩(あり)く
月の夜は隈拵へり悪太郎
潮も陽も背も目の果てに夏の月
側溝のビニールの藻や夏は夜
月つまみ指に象るリングかな
呼ぶ声も木枯なら嘯(うそぶ)いて月
右目閉じ朧尖がらす水限皺(みぎりじわ)
瞬いて睫毛のように寒月や
淋しさに蠢(うご)く手の罪冬の月
書いて在る事なぞらう日々寒月や
白息に毀(こぼ)てる爪先の寒月