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春宵の眠りに聞ゆ祖母の唄
白い上靴ひとり未来のことばかり
玉砂利の白さ故あり古寺の息
黄水仙臍に糸引くボタンかな
浮春やどうになるなれ女心象
菫野辺下唇の震へ様
観覧車溶け溺るる目カムパネルラ
口をあいて仰ぐあわいを春の空
菓子配る大人の目尻春と無知
食うものに従う鼻や桜餅
この頭黄色に春は誰のせい
往来す豹の涎や春日和
寝違えし首や春日に据わりおる
猫の恋上目に腰のくねりかな