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襟立てる風や卯月のひとりごち
稲荷稲荷赤き鳥居ら逆止弁
ビニールの傘ぱつぱつと春の雨
風はこぶ四月の女(ひと)のうなじかな
川流る花は往者をなぞるかに
弥生尽悲しき母の頸見し
明日ならまちがってると落椿
なんだって続いてかない砂時計
尽きてなお舌打ちしごと花火殻
射干玉も欲しけりゃ宿(しゅく)す星一つ
春来たるまた完璧が卵割る
猫に鎌剥く本能や蝉の声
牡丹崩れ其(そ)が果つまでが形たれ
青い空柵に嘴擦る鴉