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うつむくは冬の日の白く過ぎぬゆえ
爪の間も渋皮や未だ鬼優し
物縫へる汝(な)とも忘れし夜長かな 原石鼎 物言へる汝とも忘れし夜長かな
かげぼうし届かぬ踵や冬下校
独り目の剥きて熟れなす袖舞台
熟れ柿の萼(へた)西日涌く流しもと
芋虫のころのよじりや冬の朝
日は昇り日は暮れて未だ給水塔
銀杏のひろごりて黄(きい)の匂かな
朝露にべつたりと赤熟れ彼岸
落ち穂拾い天下の画なり半減期
蜘蛛殺し誘い笑う子ら秋の空
ブラマンク白が命や邑写精
ほの少しちいさくなりぬ秋の唇(くち)