マガジン

  • 近い将来のショートショートSF

  • ショートショートSF

最近の記事

扶養関係

 男は『自分の』タクシーの後部座席に座っていた。深酒をして目を閉じているが、寝てはいなかった。  タクシーは見慣れた夜の国道を走っていた。この辺りまで来ると店もまばらで、その店もとうにシャッターを下ろし営業を終えている。 (俺のタクシー。なんで乗ってるんだっけか。そうだ、飲んだんだ。元々気乗りしなかった。やはり会うんじゃなかった。)  男はゆっくりと目を開くと窓の外を流れる風景を眺めた。 (自分が運転していた頃と何も変わらない。景色は変わらないな。)  誰もいない運転席では、

    扶養関係

      マガジン

      • 近い将来のショートショートSF
        1本
      • ショートショートSF
        0本