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ホテルのコロナ対策を、動画でどう伝えるか?

「Go Toトラベル」が東京を除いて7月22日から始まりました。

宿泊業の方々は新型ウイルスの感染予防対策でお忙しいところではないでしょうか。

旅行関係の知人から、「星野リゾートのコロナ対策動画がいいよ!」ということを教えていただきました。

というのは、ホテルや旅館では、今、いろいろな対策を施していらっしゃるけれども、それをどういうふうにお客さまに伝えたらよいのか、これがなかなか難しい、というお話でした。

それで星野リゾートさんのところは、さすがいい感じの動画にまとめているよね、と。

へー、ということで自分も拝見してみました。

ほんとだ、なかなかいいですね!

動画URL https://youtu.be/601AMt9ENmc

実際にネット検索してみると、国内・海外のホテルで、そういう動画を制作している事例がたくさんありました。

いろいろ見てみると、いいね!というものもあれば、そうでもないものも…

で、どんなことに気を付けると、いい感じの「コロナ対策を紹介する動画」ができるものか、映像制作者としてちょっとリサーチ(?)してみたので、その結果をシェアさせていただければと思いました。

ホテル業のことは素人なので、見当はずれなところがあるかもしれませんが、参考にしていただければ幸いです。

コロナ対策を紹介する動画のポイント

とりあえず以下、箇条書きします。

・必須の撮影シーン:
「体温チェック」「ソーシャルディスタンス」
「換気」「消毒」

・ポイント1:「文字を減らす」
・ポイント2:「怖い印象を与えない」
・ポイント3:「プロモーション動画であることを忘れない」

それぞれのポイントについて説明します。

でもその前に、さっきの星野リゾートさんだけじゃなくて、それ以外の「コロナ対策を紹介する動画」も時間があれば見てください。比較すると参考になりますよ。


アパホテルの取り組み
https://www.youtube.com/watch?v=D3OgH4BNNdM


ALVA DONNA HOTELS - COVID - 19 PREVENTIVE MEASURES
https://www.youtube.com/watch?v=seH_Y8dHDLE


【ホテルニューオータニ】新型コロナウィルスの安全対策について 
https://www.youtube.com/watch?v=uA9iFR6pGRA

このほかにもキーワード検索(「ホテル コロナ対策」とか「Hotel COVID-19 measures」とか)すると、いろいろな事例を見ることができます。

そのなかで気づいた点を述べさせていただきます。

必須の撮影シーン:
「体温チェック」「
ソーシャルディスタンス
「換気」「消毒」

だいたいどのコロナ対策動画でもカバーしているのが、上記の4つのシーンですね。

まず「体温チェック」に関しては、「従業員が体温チェックをしています(なので安心です)」というケースと、「お客さまの体温をチェックしています(お客様同士の安心のため、ご協力ください)」というケースに分かれるようです。

最初の星野リゾートの動画では、冒頭に「従業員の健康管理」という見出しを立てて、スタッフの方が体温チェックをされているシーンがはいります。「従業員が体温チェックをしています(なので安心です)」という見せかたですね。ホテルニューオータニのコロナ対策動画でも、同様に、スタッフの方が体温を測定されているシーンが後半にでてきます。

一方で、上に事例として紹介させていただいた、ALVA DONNA HOTELSの対策動画では、お客さまがホテルに到着するなり体温チェックを受けているシーンが挿入されています。空港の検疫で見かけるような、ビデオカメラと連動したサーモグラフィーですね。こちらは「お客さまの体温をチェックしています(お客様同士の安心のため、ご協力ください)」という見せ方です。

どちらもありだと思います。お客様同士の安心のため、それから従業員の安全のため、施設を利用するひとに体温チェックに協力していただくのは必要な措置だと思います。

ざくっとした印象ですが、日本のホテルの場合は「従業員が体温チェックをしています」というのが多く、海外のホテルの場合は「お客さまの体温をチェックしています」というシーンが多いようです。どちらでいくかはホテルの運営側の考え方次第ではないかと思います。

繰り返しになりますが、星野リゾートの対策動画のケースでは、冒頭に「従業員の健康管理」というかたちで体温チェックのシーンを持ってきているところが上手だなと思います。

というのは、多くの動画事例において、お客さまがホテルに到着してチェックインするシーンなどから動画が始まったりしているのですが、星野リゾートの場合は、まず受け入れ側の安全対策(従業員の体調管理、事務所の消毒、客室清掃)を見せたうえで、その次にチェックインのシーンへとつなげている点が工夫されていると思いました。なんだか安心感が醸成されますよね。

また、レストランの部分で、お客さまの額(ひたい)に測定器を当てて体温チェックするシーンが、ごく短めに挿入されています。これも短くていいなと思いました。お客さまの体温チェックの場面を挿入するなら、なるべく引いたアングルで、サクっと短く挿入するのがいいと思います。

次に「ソーシャルディスタンス」ですね。いわゆる「三つの密(密閉・密集・密接)」を避けるということで、チェックイン・カウンターの床にシールを貼ったりして、お客様同士がソーシャル・ディスタンシングできるように促しているシーンなどがよく紹介されています。

対策動画によっては、接近し過ぎてしまったお客さまを、スタッフが声掛けして離れてもらうというような、ちょっとした小芝居をいれている事例もありました。でもどうでしょう、なくていいかも。

いまはスーパーでも見慣れていることですので、一、二組のお客さまが、距離を保ってチェックインを待っている場面をシンプルに挿入できればいいのではないかと思います。

それから「換気」ですね。やはり気になる人が多いと思います。清浄な空気に気をつけています、ということで空気清浄機を紹介したりしている例もありました。でも心理的に一番伝わりやすいのは、お掃除されるスタッフの方が、客室の窓をいっぱいに開けるシーンを挿入することではないでしょうか。

スタッフが窓をさっと開けて、陽の光が室内に反射して、それでカーテンが風に揺れたりするシーンが撮れたらいいと思います。空気は目に見えないので、カーテンが風にそよぐのが効果的だと思います。

最後は「消毒」です。どの対策動画でも必ずといっていいくらい、エレベーターのボタンや客室のドアノブを拭いているシーンが登場します。

それで、もちろん「消毒」は必須のシーンなのですが、撮り方によっては逆効果になりそうな事例がありました。

そのひとつは、拭きとり作業の手元をクローズアップし過ぎている事例です。スタッフの方が、洗剤をつけたタオルでドアノブやテーブルを丁寧に拭いているのですが、カメラが寄りすぎているケースがいくつもありました。

拭いている対象を大写しにすると、視聴者の側も、そこに汚れが付着していないかどうか、思わず目を凝らしてしまいそうになります。洗剤のCMではないので、拭いている対象を大きく見せる必要はないと思います。なんだかせっかくのホテルが汚い場所であるかのような印象を与えてしまい、逆効果ではないかと思います。拭き掃除されているスタッフの様子を、少し離れたところから撮影すればいいと思います。

それから、ササっとリズムよく拭いているのがいいと思います。いくつかの事例で、どういうわけかスローモーションで編集しているものがありました。高級リゾートのプロモーション動画ではスローモーションで見せる動画がよくありますが、コロナ対策動画ではスローモーションはあんまりいらないと思います。あるいは、スローモーションで入れる場合には、ごく短いカットでテンポよくつないでいくようにしたほうがいいと思います。

参考事例:IHGクリーンプロミス
 
( https://www.ihg.com/content/jp/ja/customer-care/clean-promise )

上記URLの動画では、清掃・消毒作業のカットをいい感じにテンポよくつないでいます。上手いなあと思いました。クローズアップもありますが、短めにつないでいるので悪い印象はありません。

また、これは海外のホテルの事例に多かったですが、到着したばかりのお客さまのスーツケースを、スタッフがササっと拭いているシーンを挿入しているものがありました。

それから、清掃が終わり、準備ができた客室のドアに、シールを貼っている動画もありました。さきほどご紹介したALVA DONNA HOTELSの場合、「CLEANED AND READY FOR STAY」とプリントされたシールで客室のドアを封印していました。

下記のMeliá Hotels Internationalの動画でも、やはり客室のドアをシールで封印するシーンがあります。


演出上のポイント

最後に、コロナ対策動画を演出していくうえでのポイント的なものを考えてみたいと思います。

・ポイント1:「文字を減らす」

いくつかの対策動画で、画面の上に非常に文字が多い例がみられました。

丁寧に説明されているのかもしれませんが、視聴者には負担になります。楽しい旅行のプランをふくらませているときに、文字だけの画面は心理的にもつり合いません。研修ビデオではないので、文字はできるだけ少ない方がいいと思います。

映像で意味が伝えられるものは、カメラマンに工夫して撮ってもらい、編集の際はできるだけ文字情報をおさえるのがいいと思います。


・ポイント2:「怖い印象を与えない」

上にも述べたとおり、消毒作業を徹底されていることは素晴らしいことなのですが、あんまり強調しすぎると、ホテルが怖い場所になってしまいます。

動画の中でエレベーターのボタンを拭いているシーンは必要であっても、そのシーンが同時に「エレベーターのボタンは汚い」というメッセージを発していることには注意が必要です。

同じことですが、客室のテレビのリモコンを熱心に拭いているシーンは、同時に「テレビのリモコンは汚いものだ」という印象をお客さまに与えることになります。

消毒作業の描写をあんまり強調しすぎると、かえって行きたくなくなってしまうかもしれません。

そして繰り返しになりますが、消毒作業のシーンは、ひとつひとつのカットを短めに、テンポよく編集することが大事だと思います。ササっ、ササっという感じで。さきほどのIHGクリーンプロミスとか、いい感じだと思います。


・ポイント3:「プロモーション動画であることを忘れない」

コロナ感染予防のための動画であっても、ホテルや旅館のプロモーションの一環であることには変わりがありません。

お客さまに泊りに来ていただくための動画づくりですので、ホテルや旅館の魅力を損なうことなく、丁寧に、カッコよく見せるべきだと思います。

有名なホテルなのに、コロナ対策のために緊急に作りました!なので、ちょっと安っぽいです!という雰囲気の動画が見られました。ホテルのブランドにとってもよくないと思います。

出演するスタッフの方の服装や髪なども整っているかどうか確認してから、余裕をもって撮影してください。


以上、「コロナ対策を紹介する動画」を制作する際にポイントになりそうな部分を解説させていただきました。

ホテルや旅館のことは素人なのに、偉そうなことを書いてしまいました。間違っているところがありましたら、ごめんなさい。

なにか参考にしていただける部分がありましたら幸いです。


顔写真_KUMAKURA_JIRO(モノクロ小)

熊倉次郎 jirokumakura.com

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