雨と宝石の魔法使い 第四話 リリーフ街の秘密
武藤響(むとう ひびき)は仕事からの帰り道、いつも一つ手前の駅で降り、自宅まで歩いている。40歳を越え、体力の衰えと、腹の出た中年の身体を憂慮して始めた習慣だった。
自宅の最寄り駅の手前にある武蔵橋駅には、小さな商店街「リリーフ街」が駅のロータリーから直結しており、夕方は地元客で結構な賑わいを見せていた。
今日も武蔵橋で降りるとそのまま大通りを通って自宅へ向かおうとしたが、花粉症の薬が切れていたことに気づき、初めてアーケードを潜り、商店街に足を踏み入れた。
そこはまるで