プレゼンテーション1__自動保存済み_

ここが変だよ民泊新法その8 民泊とホテルとの違い

前回の記事では、民泊新法は個人プレイヤーを一掃して、既存産業(ホテル業)で需要増大に対応したかったんじゃないかという記事を書きました。それ自体は国の戦略としてアリなのかなと思いますが、民泊だけが旅行者に提供できる価値もあると思っています。

民泊に求められているもの

民泊ってなんでこんなに急成長したのか、どういったニーズに対応していたのか。というのを考えてみます。

・現地文化の体験

これは特にホームステイ型(家主同居型)で言えることですが、現地の人の家に滞在することで、現地文化にダイレクトに触れる事ができます。現地の人も海外の人と交流することができ、おまけに家賃分ぐらいには利益もでる。

ここに関しては既得権業界とぶつからない部分なので、民泊新法でも家主不在型と比べるとかなり規制は少なくなっています。とはいえ申請大変そうなので、ここの規制はかなり軽減させてほしいですね。

・とにかく安い(安く提供できる)

基本的にはこれが一番大きいですよね。ホテルと違って大した初期投資がかからないし、人が常駐しなくていいから人件費もかからない。今までは法規制が曖昧で消防設備等も設置していなかったので、ホテル・旅館と比べて圧倒的に安く提供できて、それでも利益が出たんですよね。

ホテルにも規模の経済が働くので、1部屋あたりの清掃費やリネンに関しては民泊より安かったと思いますが、それでも提供価格では対抗できない。

しかも、布団さえ置けたら何人泊まろうが運営側はコストアップしないので、複数人で泊まると一人あたりの宿泊単価は2000円台になったりするわけです。やすーい!

通常は安かろう悪かろうですが、Airbnbのレビューシステムのおかげで、安くてもサービスレベルが担保されてるところを選べるし。

改めて旅行者にとってめっちゃいい仕組みですね、民泊。

逆にこれからは、民泊新法・旅館業の規制により初期投資や運営コストが跳ね上がるので、必然的に宿泊費もあげざるをえない。それでも人件費がかからない分価格はホテルよりは安くできるでしょうが。

・大人数で宿泊できるandキッチンが使える

日本のホテルにない部分はここですね。海外だとコンドミニアム(リビングとキッチン付き)が多いですが、日本だとあまり聞き慣れないですよね。個人的にはコンドミニアムタイプの宿泊施設は日本にもっと増えてもいいと思います(というか自分がやりたい)が、やっぱ既存スタイルの方が収益性高いんですかね。

で、私も民泊の運営をはじめてから知ったのですが、大人数で旅行するグループって結構いるんですね。それも4,5人ではなく10人とかもざらに。

ホテルに滞在する場合、2・3人ずつ4部屋とかに分かれて滞在しなきゃいけなくて、どこかでかけるのにも部屋から内線電話かけて時間調整したりとか、面倒ですよね。同じグループは同じ空間に泊まったほうが動きやすい。

そしてそういうグループというのは、たいてい2家族だったり、親戚同士だったりする。小さいお子さんや年配の方もいる。

となるとやっぱりキッチン使えたほうがいいですよね。子供用のご飯作ったりしたいから。そして国によっては、宗教上の理由で食べ物に制限があるところも多いです。ハラルフードだったりヴィーガンだったり。最近は増えてると思いますが、日本は島国ゆえに未だにそういうのに対応しているレストランも少ないから、やっぱり自炊ができるキッチンは必要です。

私もヴィーガンの人達と旅行(日本を案内)したことがありますが、食事には本当に悩まされます。

上記のような制約があったり、普通に旅行先でみんなでわいわいご飯食べたりしたい時に、ホテルだったらロビーでそんなことできないけど、民泊ならリビングでそれができる。

これをホテルでやろうと思ったら、間違いなくスイートルームになるわけですよ。一泊いくらするんだと。

値段は供給と共に改善されるはず

今は民泊淘汰されて、一時的に日本旅行者の平均宿泊単価は跳ね上がっていると思います。ホテル大儲け。でも結局需要と供給はバランス取れていくはずなので、今建設中のホテルがバンバン増えたら、いずれ価格は下がっていくでしょう。

問題なのは、コンドミニアム旅行スタイル(大人数+キッチン)とホームステイ型旅行が今回の新法によって激減してしまったことだと思っています。

国としてはある程度既存産業を守るというのも必要だとは思いますが、既存産業で提供できないニーズに対応できている民泊のいいところは、規制緩和によって残してほしいですね。

日本の観光業に明るい未来があることを願って、また次回!

投げ銭より、SNSシェアしてもらえると嬉しいです。 日本の観光業に明るい未来があることを願って。