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今日聴いた音楽:犯行声明/NORIKOYO

最近、日本語ラップをあまり聴いていなかったので、久しぶりにNORIKIYOを聴いた。今日聴いたのは、今年の6月に発売の新アルバム「犯行声明」。

NORIKIYOの魅力といえばなんといっても、社会性や彼独自の哲学といったリリシズムとめちゃくちゃにテクいライミングが両立されたリリックであろう。

このアルバムでは、以前から彼が磨き上げてきたそういったスキルがさらなる進化を遂げ、ある種の到達点に達したといっても良いだろう。

このアルバムの制作の裏には、壮絶な背景がある。

彼はある時、瞼の筋肉が失われ、左目が見えなくなるという国の指定難病を患う。そして、それと同時に舌の筋肉も弱り始め、ラップができなくなるかもしれないという状況に陥る。そんななか、それらの治療法として、医療用としての大麻を摂取するという方法がベストであるということに気づき、自身の治療目的で自家用大麻を栽培し始めた。しかし、もちろん現在の日本では大麻栽培は違法と規定されているため、逮捕されてしまうわけだが、そこで、メディアは身も蓋もない悪意ある情報を、彼の逮捕に乗じて報道し始めた。やっていない罪まで着せられるといった、メディアや警察の過剰な姿勢に疑問を抱いたというのが、このアルバムの着想である。

よって、このアルバムのリリックのほどんどは、刑務所内でビートもない状態で書き上げられたという。

どの曲も、全体的に社会や警察、法に対する疑問や、自分なりの考えを貫くことや、既存を疑う姿勢の重要性についてとったテーマは一貫しているように聴こえた。

そして、やはりその全てが実体験であるからこその緊迫感や説得力を感じさせる。

間違いなく彼のキャリアの中で、そして今年のヒップホップにおいて重要な一枚であることを実感させられた。

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